講演情報
[R3-2]痔核術後合併症における創部感染の検討
小菅 経子, 佐井 佳世, 米本 昇平, 酒井 悠, 松島 小百合, 鈴木 佳透, 紅谷 鮎美, 大島 隆一, 松村 奈緒美, 河野 洋一, 宋 江楓, 下島 裕寛, 岡本 康介, 國場 幸均, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 松島 誠 (松島病院大腸肛門病センター)
当院で痔核根治術後に腰椎麻酔または局所麻酔下での再手術を必要とした創部感染の術後合併症は約0.2%であった.
痔核根治術後の創部感染の頻度は少ないながらも,時に通常の痔瘻に似た形態をとるため,切開術を行う際はドレナージのみ行うかsetonを留置するか判断に迷う場合がある.今回痔核根治術後に局所麻酔または腰椎麻酔下に処置を要した創部感染症例の検討を行った.
対象は2021年1月から2024年12月までに施行された痔核根治術後に創部感染を合併し外科的処置を要した20症例である.症例は男性16例,女性4例,年齢中央値は43歳(26‐74歳)だった.痔核根治術施行から創部感染発症までの日数は中央値27日(10‐298日)であった.7例は創部感染発症前に術後出血に対して腰椎麻酔下または局所麻酔下での止血術が行われており,そのうち1例は止血術の際に創部感染が明らかになり止血術と時に切開術を同時に施行した.感染発症時の経肛門エコー検査では皮下膿瘍・炎症が6例,ⅡL様の膿瘍・炎症が9例,ⅡH様の膿瘍・炎症が4例,外括約筋内への膿瘍形成が1例だった.治療経過は,8例は膿瘍に対する切開術のみで治癒に至った.6例は切開術後に瘻孔形成をしたため4例はfistulotomy,1例はcutting seton,1例はfistulectomy+筋縫合を施行し治癒した.4例は膿の貯留は少量だったため抗菌剤投与で経過観察を行ったが,その後瘻孔形成をしたため1例はcutting seton,3例はfistulotomyを施行し治癒した.1例は膿瘍形成時に切開術並びにcutting setonを留置し治癒した.また1例は切開術施行後の経過観察中に来院中断となっている.治癒を確認した19例の,痔核根治術施行から治癒までの日数は中央値149日(39‐563日)だった.
創部感染発症前に止血術を要している症例が6例,同時発症が1例と,全痔核根治手術症例における術後出血の頻度と比較すると術後出血合併率が高かった.痔核根治術後の創感染は,のちに痔瘻化することも多いが、複雑な膿瘍形成であっても必ずしも瘻孔形成するとは限らず,まずは切開術のみで経過観察を行うのがよいと考えられた.
痔核根治術後の創部感染の頻度は少ないながらも,時に通常の痔瘻に似た形態をとるため,切開術を行う際はドレナージのみ行うかsetonを留置するか判断に迷う場合がある.今回痔核根治術後に局所麻酔または腰椎麻酔下に処置を要した創部感染症例の検討を行った.
対象は2021年1月から2024年12月までに施行された痔核根治術後に創部感染を合併し外科的処置を要した20症例である.症例は男性16例,女性4例,年齢中央値は43歳(26‐74歳)だった.痔核根治術施行から創部感染発症までの日数は中央値27日(10‐298日)であった.7例は創部感染発症前に術後出血に対して腰椎麻酔下または局所麻酔下での止血術が行われており,そのうち1例は止血術の際に創部感染が明らかになり止血術と時に切開術を同時に施行した.感染発症時の経肛門エコー検査では皮下膿瘍・炎症が6例,ⅡL様の膿瘍・炎症が9例,ⅡH様の膿瘍・炎症が4例,外括約筋内への膿瘍形成が1例だった.治療経過は,8例は膿瘍に対する切開術のみで治癒に至った.6例は切開術後に瘻孔形成をしたため4例はfistulotomy,1例はcutting seton,1例はfistulectomy+筋縫合を施行し治癒した.4例は膿の貯留は少量だったため抗菌剤投与で経過観察を行ったが,その後瘻孔形成をしたため1例はcutting seton,3例はfistulotomyを施行し治癒した.1例は膿瘍形成時に切開術並びにcutting setonを留置し治癒した.また1例は切開術施行後の経過観察中に来院中断となっている.治癒を確認した19例の,痔核根治術施行から治癒までの日数は中央値149日(39‐563日)だった.
創部感染発症前に止血術を要している症例が6例,同時発症が1例と,全痔核根治手術症例における術後出血の頻度と比較すると術後出血合併率が高かった.痔核根治術後の創感染は,のちに痔瘻化することも多いが、複雑な膿瘍形成であっても必ずしも瘻孔形成するとは限らず,まずは切開術のみで経過観察を行うのがよいと考えられた.