講演情報
[R4-1]当科における直腸脱に対する腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定術の成績
藤井 敏之, 硲 彰一, 北原 正博, 木原 ひまわり (周南記念病院消化器病センター外科)
【緒言】直腸脱は、脱出に伴う諸症状によりQOLが損なわれるが、手術により改善する。特に腹腔鏡下直腸脱手術は侵襲が軽度であり、経肛門手術に比べて症状の改善度や根治性にも優れていると考えており、当科では2016年9月より腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定法を、腸管脱出長によらず全身麻酔が可能であれば第一選択にしている。今回、後方視的に手術成績を検討した。
【方法】2016年9月から、2025年4月までに腹腔鏡下直腸固定術を施行した85例のうち、子宮同時つり上げを行った4例を除外した81例について、年齢、性別、開腹歴の有無、手術時間、術中出血量、術後合併症、再発の有無、術前術後の緩下剤使用量の変化について調査した。
【結果】年齢中央値は82歳で、90歳以上の超高齢者が17例(21%)を占めていた。男女比は5¦76で、約94%が女性であった。43例(53%)が何らかの開腹手術歴を有しており、手術時間と出血量の中央値は、それぞれ2時間39分と10mlで、開腹歴有群は2時間33分と10ml、開腹歴無群2時間39分と8.5mlであった。術後の合併症は、導入当初の1例に機械性イレウスを認め、直腸吊り上げに使用した有棘糸断端に起因しており、その後糸の断端が突出しないようにしている。また、1例に術後6か月目の再発を認め、再度腹腔鏡下手術を行ったが、吊り上げ箇所は脱落しておらず、骨盤支持組織が過度に伸展したことが再発原因と思われた。元のメッシュに新たなメッシュを縫着し、直腸前壁腹膜翻転部を吊り上げ、脱出は改善され再発を認めていない。便秘については、術後約半数の症例で緩下剤の処方が増えていたが、緩下剤の調整でコントロール可能であった。
【考察】腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定術は、術中出血量や術後の合併症も少なく安全に施行可能であり、再発も少なかった。術後便秘に対する服薬に配慮する必要はあるが、全身麻酔が可能であれば高齢者でも推奨できる手術法である。
【結語】腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定術は、術後便秘症状に注意する必要はあるが、再発率も低く有用な術式である。
【方法】2016年9月から、2025年4月までに腹腔鏡下直腸固定術を施行した85例のうち、子宮同時つり上げを行った4例を除外した81例について、年齢、性別、開腹歴の有無、手術時間、術中出血量、術後合併症、再発の有無、術前術後の緩下剤使用量の変化について調査した。
【結果】年齢中央値は82歳で、90歳以上の超高齢者が17例(21%)を占めていた。男女比は5¦76で、約94%が女性であった。43例(53%)が何らかの開腹手術歴を有しており、手術時間と出血量の中央値は、それぞれ2時間39分と10mlで、開腹歴有群は2時間33分と10ml、開腹歴無群2時間39分と8.5mlであった。術後の合併症は、導入当初の1例に機械性イレウスを認め、直腸吊り上げに使用した有棘糸断端に起因しており、その後糸の断端が突出しないようにしている。また、1例に術後6か月目の再発を認め、再度腹腔鏡下手術を行ったが、吊り上げ箇所は脱落しておらず、骨盤支持組織が過度に伸展したことが再発原因と思われた。元のメッシュに新たなメッシュを縫着し、直腸前壁腹膜翻転部を吊り上げ、脱出は改善され再発を認めていない。便秘については、術後約半数の症例で緩下剤の処方が増えていたが、緩下剤の調整でコントロール可能であった。
【考察】腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定術は、術中出血量や術後の合併症も少なく安全に施行可能であり、再発も少なかった。術後便秘に対する服薬に配慮する必要はあるが、全身麻酔が可能であれば高齢者でも推奨できる手術法である。
【結語】腹腔鏡下直腸後方メッシュ固定術は、術後便秘症状に注意する必要はあるが、再発率も低く有用な術式である。