講演情報
[R6-2]閉塞性大腸癌に対する当院での治療戦略と課題
腰野 蔵人, 前田 文, 谷 公孝, 番場 嘉子, 金子 由香, 二木 了, 小川 真平, 山口 茂樹 (東京女子医科大学病院消化器・一般外科)
【緒言】閉塞性大腸癌(Obstructive colorectal cancer: OCRC)は全大腸癌の3-15%と報告されている.大腸ステントは2012年より本邦において保険収載され、現在では留置成功率約90%と非常に高い結果となっている。これに伴い腸閉塞症状を伴う大腸癌に対して術前減圧目的(Bridge to surgery: BTS)でのステント留置症例が増加傾向にある。
【目的・方法】今回われわれは,2013年4月~2024年4月までにcStage II/IIIと診断した閉塞性大腸癌症例(CROSS分類score 0-2)を大腸ステント群59例と非ステント群53例の2群に分け、合併症発生を含めた治療成績をretrospectiveに検討した.(術前化学療法施行症例は除外,P<0.05を持って有意差ありとした.)
【結果】大腸ステント群は年齢73歳、男:女=33:27、腫瘍局在はA/T/D/S/R :4/14/15/22/5であった。ステント挿入から手術までの期間(中央値)は32日、pStage II:40症例,pStage III: 20症例であった.緊急手術は5例(ストマ造設を含む)、Hartmann手術を含む人工肛門造設症例は7例、Clavien-Dindo分類3以上の合併症発生は4例であった。術後在院日数の中央値は10.5日、再発は14例に認めた。また、一方非ステント群は年齢70歳、男:女=29:24、腫瘍局在C/A/T/D/S/R: 5/9/6/5/21/8であった。緊急手術は19例であり、Hartmann手術を含む人工肛門造設症例は16例であった、Clavien-Dindo分類3以上の合併症発生は9例、術後在院日数の中央値は13日,再発は13症に認めた。両群間の比較ではストマ造設率(P=0.015)、緊急手術回避率(P<0.05)で有意な差を認めた。合併症の発生率(P=0.087)、再発率(P=0.882)に差はなかった。ただし、ステント群では緊急手術となった場合に一期的に原発巣を切除できない症例が大半であった。
【結語】閉塞性大腸癌に対する大腸ステント留置術によって緊急手術、ストマ造設を回避し、十分な減圧のもと手術が可能であるため、患者の術後QOLの向上が示唆された。しかしながらステント留置の技術的、臨床的成功が難しかった場合は、一期的手術による原発巣切除が難しくなるため、今後さらなる技術の向上が必要であると考えられる。
【目的・方法】今回われわれは,2013年4月~2024年4月までにcStage II/IIIと診断した閉塞性大腸癌症例(CROSS分類score 0-2)を大腸ステント群59例と非ステント群53例の2群に分け、合併症発生を含めた治療成績をretrospectiveに検討した.(術前化学療法施行症例は除外,P<0.05を持って有意差ありとした.)
【結果】大腸ステント群は年齢73歳、男:女=33:27、腫瘍局在はA/T/D/S/R :4/14/15/22/5であった。ステント挿入から手術までの期間(中央値)は32日、pStage II:40症例,pStage III: 20症例であった.緊急手術は5例(ストマ造設を含む)、Hartmann手術を含む人工肛門造設症例は7例、Clavien-Dindo分類3以上の合併症発生は4例であった。術後在院日数の中央値は10.5日、再発は14例に認めた。また、一方非ステント群は年齢70歳、男:女=29:24、腫瘍局在C/A/T/D/S/R: 5/9/6/5/21/8であった。緊急手術は19例であり、Hartmann手術を含む人工肛門造設症例は16例であった、Clavien-Dindo分類3以上の合併症発生は9例、術後在院日数の中央値は13日,再発は13症に認めた。両群間の比較ではストマ造設率(P=0.015)、緊急手術回避率(P<0.05)で有意な差を認めた。合併症の発生率(P=0.087)、再発率(P=0.882)に差はなかった。ただし、ステント群では緊急手術となった場合に一期的に原発巣を切除できない症例が大半であった。
【結語】閉塞性大腸癌に対する大腸ステント留置術によって緊急手術、ストマ造設を回避し、十分な減圧のもと手術が可能であるため、患者の術後QOLの向上が示唆された。しかしながらステント留置の技術的、臨床的成功が難しかった場合は、一期的手術による原発巣切除が難しくなるため、今後さらなる技術の向上が必要であると考えられる。