講演情報
[R6-3]閉塞性大腸癌の予後因子の検討
古屋 一茂, 渡邊 英樹 (山梨県立中央病院消化器外科)
【背景】
大腸癌のうち、狭窄による閉塞性大腸癌は約3~16%に発症し、一般に予後不良とされているが、具体的な予後因子については十分に解明されていない。
【目的】
StageII,III閉塞性大腸癌に対する根治的切除後の予後因子を明らかにすることを目的とした。
【対象】
2005年~2022年に当院で切除術を受けた大腸癌症例のうち、粘膜内癌、多発、重複癌既往例、緊急手術例を除外し、根治的切除が行われたStageII,III症例を対象とした。
【方法】
全生存率(OS)を主要評価項目とし、閉塞性大腸癌(閉塞群)と非閉塞性大腸癌(非閉塞群)の2群に分け、臨床病理学的因子、炎症性マーカー、栄養指標等をROC曲線により算出したカットオフ値を用いて後方視的に比較検討した。さらに閉塞性群に対して多変量解析(Cox比例ハザードモデル)を行い、無再発生存率(RFS)およびOSに関する独立予後因子を検討した。生存曲線はKaplan-Meier法を用いて作成した。
【結果】
閉塞群は138例、非閉塞群は896例。閉塞群/非閉塞群の比較では、男性(55.1%/54.2%)、ASA-PS≧3(18.1%/14.0)、結腸(RSを含める)(90.6%/79.4%、p<0.01)、右側結腸(44.2%/39.2%)、pStageII(58.7%/52.1%)、術後補助化学療法(28.3%/30.8%)であった。
5年OSは閉塞群70.6% [95%CI: 61.1–78.0]、非閉塞群83.0% [95%CI: 79.1–85.1]、であり、統計学的に有意差を認めた(p<0.01)。
閉塞群における多変量解析の結果、RFSに関連する因子として「年齢≥75歳」「術前リンパ球/単球比(LMR)低値」「BMI≥25」「pT4」「pN2」が、OSに関連する因子として「年齢≥75歳」「術前LMR低値」「pN2」「ASA-PS≥3」「術前CEA>5.0 ng/ml」「リンパ節郭清度」「術前CRP/Alb比(CAR)高値」が抽出された。
【結語】
閉塞性大腸癌において、術前リンパ球/単球比(LMR)およびCRP/Alb比(CAR)は、StageII、III症例の予後を示唆する有用な指標となる可能性がある。
大腸癌のうち、狭窄による閉塞性大腸癌は約3~16%に発症し、一般に予後不良とされているが、具体的な予後因子については十分に解明されていない。
【目的】
StageII,III閉塞性大腸癌に対する根治的切除後の予後因子を明らかにすることを目的とした。
【対象】
2005年~2022年に当院で切除術を受けた大腸癌症例のうち、粘膜内癌、多発、重複癌既往例、緊急手術例を除外し、根治的切除が行われたStageII,III症例を対象とした。
【方法】
全生存率(OS)を主要評価項目とし、閉塞性大腸癌(閉塞群)と非閉塞性大腸癌(非閉塞群)の2群に分け、臨床病理学的因子、炎症性マーカー、栄養指標等をROC曲線により算出したカットオフ値を用いて後方視的に比較検討した。さらに閉塞性群に対して多変量解析(Cox比例ハザードモデル)を行い、無再発生存率(RFS)およびOSに関する独立予後因子を検討した。生存曲線はKaplan-Meier法を用いて作成した。
【結果】
閉塞群は138例、非閉塞群は896例。閉塞群/非閉塞群の比較では、男性(55.1%/54.2%)、ASA-PS≧3(18.1%/14.0)、結腸(RSを含める)(90.6%/79.4%、p<0.01)、右側結腸(44.2%/39.2%)、pStageII(58.7%/52.1%)、術後補助化学療法(28.3%/30.8%)であった。
5年OSは閉塞群70.6% [95%CI: 61.1–78.0]、非閉塞群83.0% [95%CI: 79.1–85.1]、であり、統計学的に有意差を認めた(p<0.01)。
閉塞群における多変量解析の結果、RFSに関連する因子として「年齢≥75歳」「術前リンパ球/単球比(LMR)低値」「BMI≥25」「pT4」「pN2」が、OSに関連する因子として「年齢≥75歳」「術前LMR低値」「pN2」「ASA-PS≥3」「術前CEA>5.0 ng/ml」「リンパ節郭清度」「術前CRP/Alb比(CAR)高値」が抽出された。
【結語】
閉塞性大腸癌において、術前リンパ球/単球比(LMR)およびCRP/Alb比(CAR)は、StageII、III症例の予後を示唆する有用な指標となる可能性がある。