講演情報
[R6-4]StageⅣ閉塞性大腸癌の減圧における治療戦略
藤田 悠司, 小川 聡一朗, 栗生 宜明, 大辻 英吾 (京都第一赤十字病院消化器外科)
【背景と目的】StageIV大腸癌は腫瘍閉塞を伴うこともあり、迅速な対応と長期的な治療戦略の両立が求められる。今回、StageIV閉塞性大腸癌に対する減圧処置の選択および大腸ステント留置の安全性を検討した。
【対象と方法】当院における2019年1月から2024年10月までの大腸癌手術症例を後方視的に検討した。緊急に大腸ステントを留置して手術(BTS)を行った閉塞性大腸癌72例のうち、StageIV症例(4-stent群)とStageIV以外の症例(stent群)を比較した。さらにStageIV閉塞性大腸癌に対してステント以外の緊急処置を行った症例群(4-other群)との比較も行った。
【結果】4-stent群は20例、stent群は52例(StageII/III:18/34)であった。4-stent群では男性が有意に多く、BMIが低値であったが、原発巣の右側左側や手術までの待機期間には有意差を認めなかった。手術アプローチ、手術時間、出血量、ストマ造設率、リンパ節郭清個数に両群間で有意差はなく、Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症発生率は4-stent群10%、stent群11.5%、術後在院日数の中央値はそれぞれ8.5日、8日であり、差は認められなかった。
4-other群は12例で、人工肛門造設10例、経肛門イレウス管1例、経鼻イレウス管1例であった。Best Supportive Care(BSC)となったのは4-stent群4例、4-other群1例であった。BSC症例を除外し、減圧処置から初回癌薬物療法開始までの期間中央値は4-stent群58日、4-other群24日で有意に延長していた。一方で、Kaplan-Meier解析における初回治療介入からの全生存期間中央値は、両群ともに45か月であり、有意差は認められなかった。比例ハザード解析では、ステント留置は予後規定因子ではなく、治療の有無やStageIV層別が独立した予後不良因子であった。
【考察】StageIV閉塞性大腸癌に対してのBTSは根治手術と同等の安全性であった。また大腸ステントの留置は生存期間において既存の減圧手段と同等であった。ただしステント留置後に病巣を切除できない場合は癌薬物療法の制限となるため注意が必要である。
【結語】単施設での少数例による検討ではあるが、StageIV閉塞性大腸癌に対する大腸ステントは治療戦略として有用であると考えられた。
【対象と方法】当院における2019年1月から2024年10月までの大腸癌手術症例を後方視的に検討した。緊急に大腸ステントを留置して手術(BTS)を行った閉塞性大腸癌72例のうち、StageIV症例(4-stent群)とStageIV以外の症例(stent群)を比較した。さらにStageIV閉塞性大腸癌に対してステント以外の緊急処置を行った症例群(4-other群)との比較も行った。
【結果】4-stent群は20例、stent群は52例(StageII/III:18/34)であった。4-stent群では男性が有意に多く、BMIが低値であったが、原発巣の右側左側や手術までの待機期間には有意差を認めなかった。手術アプローチ、手術時間、出血量、ストマ造設率、リンパ節郭清個数に両群間で有意差はなく、Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症発生率は4-stent群10%、stent群11.5%、術後在院日数の中央値はそれぞれ8.5日、8日であり、差は認められなかった。
4-other群は12例で、人工肛門造設10例、経肛門イレウス管1例、経鼻イレウス管1例であった。Best Supportive Care(BSC)となったのは4-stent群4例、4-other群1例であった。BSC症例を除外し、減圧処置から初回癌薬物療法開始までの期間中央値は4-stent群58日、4-other群24日で有意に延長していた。一方で、Kaplan-Meier解析における初回治療介入からの全生存期間中央値は、両群ともに45か月であり、有意差は認められなかった。比例ハザード解析では、ステント留置は予後規定因子ではなく、治療の有無やStageIV層別が独立した予後不良因子であった。
【考察】StageIV閉塞性大腸癌に対してのBTSは根治手術と同等の安全性であった。また大腸ステントの留置は生存期間において既存の減圧手段と同等であった。ただしステント留置後に病巣を切除できない場合は癌薬物療法の制限となるため注意が必要である。
【結語】単施設での少数例による検討ではあるが、StageIV閉塞性大腸癌に対する大腸ステントは治療戦略として有用であると考えられた。