講演情報

[R7-4]90歳以上の超高齢者における大腸癌手術治療の検討

益永 あかり, 岡 詠吾, 野坂 未公音, 佐藤 真歩, 大倉 友博, 鳩野 みなみ, 小川 俊博, 堀 直人, 渡邉 めぐみ, 荒田 尚, 勝田 浩, 田中屋 宏爾, 青木 秀樹 (国立病院機構岩国医療センター)
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【緒言】高齢化に伴い,90歳以上の超高齢者の大腸癌患者は増加している.高齢者では併存疾患や身体機能の低下が手術適応や術後経過に大きく影響するため,手術の適応には慎重な判断が求められるが,一方で,超高齢差であっても他の年齢層の患者と同様に良好な経過を辿る症例も散見される.今回,当院で手術を施行した90歳以上の大腸癌症例に対して,周術期成績と手術介入の意義について検討を行った.
【対象と方法】2015年1月から2024年12月までに90歳以上の大腸癌に対して大腸切除を施行した28例を対象とし,後方視的に検討した.
【結果:連続変数は中央値(範囲)】全28例の年齢は91歳(90-100),男性/女性:14/14,BMIは21.28 (18.3-34.6),ASA-PS 1/2/3/4:1/11/16/0であった.腫瘍の局在は右側/左側:18/10,腹腔鏡/開腹:19/9,手術時間は225分(120-431),出血量は29.5mL(0-280),術後在院日数は15.5日(7-28)となった.術後合併症を10例(35.7%)に認めたものの,Clavien-Dindo分類Grade III以上の重症合併症は認めず,周術期死亡症例も認めなかった.病理学的病期は,Stage I/II/III/IV:1/14/10/3であった.
1年以上フォローされた20例のうち,3年生存は11例,5年生存は3例で確認できた.死亡は9例に認め,9例のOSの中央値は1122日(268-2121),原病死は1例のみであった.
【結語】90歳以上の超高齢者に対する大腸癌手術は,適切な症例選択と周術期管理により,安全に施行可能であった.術後合併症の発生率は一定程度認められたが,重篤なものはなく,原病死が少なかったことからも,手術介入が長期予後やQOLの維持に寄与する可能性が示唆された.