講演情報

[R7-5]高齢者大腸癌患者に対するロボット支援直腸切除術の短期治療成績

加藤 伸弥, 西沢 佑次郎, 橋本 雅弘, 森本 祥悠, 畑 泰司, 横内 隆, 広田 将司, 古川 健太, 宮崎 安弘, 友國 晃, 本告 正明, 藤谷 和正 (大阪急性期・総合医療センター消化器外科)
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【背景】日本では高齢化の進行に伴い、高齢の大腸癌患者が増加している。高齢者は身体機能の低下、慢性疾患の罹患・進行により、術後合併症や死亡率の上昇が報告されている。【目的】当院においてロボット支援直腸切除術を実施された高齢直腸癌患者の臨床的特徴および短期治療成績を明らかにすることを目的とした。【方法】2024年4月から2025年3月までの間に当センターでロボット支援手術を施行された直腸癌患者78例を対象とし、80歳以上を高齢群、79歳以下を非高齢群として群間比較を行った。患者背景(年齢、性別、基礎疾患等)、腫瘍因子、手術関連情報および短期的な臨床アウトカムについて後方視的に検討した。【結果】対象全体の年齢中央値は75歳(範囲:41 – 90歳)であり、高齢群は22例、非高齢群は56例であった。性別およびBMIには有意差は認めなかった。高齢群では高血圧、脳梗塞、心疾患、腎疾患の既往が多い傾向にあった。手術術式に関しては、高齢群において腹会陰式直腸切断術およびHartmann手術が多く実施されていた。手術時間および出血量には両群間に差は見られなかった。Clavien-Dindo分類 Grade II以上の術後合併症は、高齢群で5例 (22.7%)、非高齢群で12例 (21.4%)であり、有意差は見られなかった(p = 0.999)。術後在院期間の中央値は、高齢群で13日(6 – 39日)、非高齢群で8日 (6 – 31日)であり、高齢群でやや延長する傾向がみられた。なお、手術関連死亡は両群ともに認められなかった。【結論】高齢者に対するに対するロボット支援直腸切除術は、非高齢者と比較しても遜色ない成績であり、安全に施行可能であると考えられた。