講演情報

[R7-6]術後入院期間から見た後期高齢者に対する大腸切除術の現状

田中 慶太朗, 大住 渉, 駕田 修史, 堀口 晃平, 山川 拓也, 川口 佳奈子, 矢子 昌美 (市立大津市民病院一般・乳腺・消化器外科)
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【背景】本邦では人口減少に伴う超高齢化社会が到来し、消化器外科領域でも高齢者に対する外科手術の重要性が増加している。【目的】当院における75才以上の後期高齢患者に対する大腸切除術を、術後入院期間の観点から後方視的に検討すること。【対象と方法】2022年4月から2025年3月までに当院で大腸疾患に対して大腸切除術を施行した201例。75才以上の後期高齢者(HA)群と75才未満(LA)群で臨床経過を比較検討した。【結果】全症例での年齢の中央値は74才(35-100)、男:女(115:86)であった。HA群93名(中央値 81才、男52:女41):LA群108名(中央値64.5才、男63:女45)であった。
術後入院期間の平均は、HA群:LA群、27.4±2.1日:15.0±2.0日 (p<0.0001)で有意にHA群で長かった。術後14日以内での退院は、HA群 44/93 (47.3%) : LA群 77/108 (71.3%) (p=0.0005)とHA群で有意に少なく、術後30日以降での退院は、HA群 31/93 (33.3%) : LA群 10/108 (9.3%) (p<0.0001)とHA群で有意に多かった。HA群で30日以降での退院(HAL)群31名とHA群で30日以内での退院(HAS)群62名を比較検討すると、平均年齢 HAL:HAS, 85.9±6.1:81.0±4.4 (p<0.0001), M/F 16/15:36/26 (p=0.55), ASA1,2 3/31(14.3%):18/49(40.9%) (p=0.0037), BMI 20.0±0.65 : 22.2±0.46 (p=0.0068), 緊急手術 18/31(58.1%):14/62(22.6%) (p=0.0007), 良性疾患 14/31(45.2%):5/62 (8.1%) (p<0.0001), ストーマ造設 15/31 (48.4%):5/62 (8.1%) (p<0.0001)であった。【結語】後期高齢者は術後入院期間が長期であるが、85才以上、緊急手術、ストーマ造設例などでは30日以上の長期入院が増加するため、退院に向けた多職種での対策を術後早期より検討する必要がある。