講演情報
[SP1]No cut video: 直腸癌に対する自律神経ガイドTotal Mesorectal Excisionの手術手技
渡邉 純 (関西医科大学下部消化管外科学講座)

本邦において直腸癌に対するロボット支援手術は2018年4月に直腸切除・切断術において保険収載され,手術件数は大幅に増加している. また、臨床使用できるロボット支援手術機器も増加し、複数機種が消化器外科領域で臨床使用が可能となっている。直腸癌手術において従来の腹腔鏡手術では,狭い骨盤内で鉗子の自由度が制限される中、自律神経を確実に温存し適切な剥離層に沿って直腸を剥離・授動することは難易度が高い手技であった。一方、多関節、モーションスケール、手ブレ防止などの機能を有しているロボット支援手術は、腹腔鏡手術の動作制限を克服し、より繊細な全直腸間膜切除(total mesorectal excision: TME)や側方郭清が施行できるもとして、臨床的,腫瘍学的,機能温存に対しての有用性が期待されている。
ロボットTMEにおける手術手技の工夫は、1.腹膜反転部までの腹膜切離先行TME、2.自律神経ガイドTME、3.前回りのTMEである。1.腹膜反転部までの腹膜切離先行TMEでは、後壁の剥離に先行して腹膜切離を行う。左右前側壁において男性では直腸膀胱ひだ(膀胱仙骨靭帯)、女性では直腸子宮ひだ(子宮仙骨靭帯)をメルクマールとすることによって、腹膜反転部以深において神経血管束と直腸間膜の間に大きくずれることなく、剥離ラインを設定することが可能である。2.自律神経ガイドTMEでは、確実な自律神経の温存と、直腸間膜に切り込まない質の高いTMEが可能となる。3.前回りのTMEは、ロボット手術の利点を最大限に生かした剥離の手順である。中直腸動脈深枝と下腹神経下群を切離することが肝要である。術野展開が最小限となることによって手術時間の短縮に寄与する。また、放射線化学療法やTotal Neoadjuvant Therapy (TNT)などの浸出液の非常に多い術前治療症例に特に有効である。
今回、上記ポイントを解説しながら、直腸癌に対する自律神経ガイドTMEの手術手技をノーカットビデオで供覧する。
ロボットTMEにおける手術手技の工夫は、1.腹膜反転部までの腹膜切離先行TME、2.自律神経ガイドTME、3.前回りのTMEである。1.腹膜反転部までの腹膜切離先行TMEでは、後壁の剥離に先行して腹膜切離を行う。左右前側壁において男性では直腸膀胱ひだ(膀胱仙骨靭帯)、女性では直腸子宮ひだ(子宮仙骨靭帯)をメルクマールとすることによって、腹膜反転部以深において神経血管束と直腸間膜の間に大きくずれることなく、剥離ラインを設定することが可能である。2.自律神経ガイドTMEでは、確実な自律神経の温存と、直腸間膜に切り込まない質の高いTMEが可能となる。3.前回りのTMEは、ロボット手術の利点を最大限に生かした剥離の手順である。中直腸動脈深枝と下腹神経下群を切離することが肝要である。術野展開が最小限となることによって手術時間の短縮に寄与する。また、放射線化学療法やTotal Neoadjuvant Therapy (TNT)などの浸出液の非常に多い術前治療症例に特に有効である。
今回、上記ポイントを解説しながら、直腸癌に対する自律神経ガイドTMEの手術手技をノーカットビデオで供覧する。