講演情報
[SY1-1]局所進行直腸癌に対するロボット支援手術の治療成績
眞部 祥一, 塩見 明生, 笠井 俊輔, 田中 佑典, 小嶋 忠浩, 井垣 尊弘, 森 千浩, 石黒 哲史, 髙嶋 祐助, 坂井 義博, 矢田部 悠介, 辻尾 元, 八尾 健太, 横山 希生人, 小林 尚樹, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
【背景】直腸癌に対するロボット支援手術は、再現性の高い安定した鉗子操作により、腫瘍の進展に応じた適切な剥離層の選択を可能とし、根治性と機能温存の両立を実現しうる有用なモダリティである。局所進行直腸癌に対して手術先行での治療戦略を標準とする本邦であるが、欧米からの積極的な術前治療の良好な成績が多く報告される中で、治療戦略を見直すべく様々な臨床試験が行われている。
【目的】当院における局所進行直腸癌に対する治療成績を明らかにする。
【当院の治療戦略】ロボット支援での手術先行治療を基本とする。側方郭清は、ガイドラインに準じて実施し、いわゆる予防的郭清においては、併存症等によりリスクの高い症例および75歳以上は省略する。手術単独では外科的剥離面確保が困難と想定される症例に対してのみ術前化学放射線治療(CRT)を施行している。
【対象と方法】対象は2011年から2024年12月までに、cStage II/IIIの原発性直腸癌に対してロボット支援手術を施行した1009例。多発癌、重複癌は除外した。短期成績および長期成績(長期成績は2020年12月までの症例)を後ろ向きに検討した。
【結果】年齢中央値66歳、男性652例/女性357例、BMI中央値22.8kg/m2、腫瘍局在RS/Ra/Rb,P:206/194/609例、cStage II/III:275/734例。術前CRT施行例は67例(6.6%)であった。術式は前方切除763例/直腸切断術143例/括約筋間切除93例/ハルトマン手術10例。側方郭清431例(42.7%)、隣接臓器合併切除113例(11.2%)に実施。手術時間中央値277分、出血量中央値6 ml、開腹移行は1例(0.1%)。術後合併症(Clavien-Dindo分類):Grade≥II 152例(15.1%)、Grade≥III 53例(5.3%)、うち縫合不全37例(3.7%)。p(yp)Stageは CR,0/I/II/III/IV:6/180/316/495/10例、癌遺残R0/R1/R2:999/9/1例。観察期間中央値5.1年で、5年全生存率95.7%、5年無再発生存率77.2%、5年累積局所再発率3.0%。術前CRT施行例においては、5年全生存率92.8%、5年無再発生存率64.1%、5年累積局所再発率7.2%であった。
【結論】局所進行直腸癌に対する治療成績は良好であった。今後は手技のさらなる精緻化に加え、治療目的を明確にした戦略の構築が望まれる。
【目的】当院における局所進行直腸癌に対する治療成績を明らかにする。
【当院の治療戦略】ロボット支援での手術先行治療を基本とする。側方郭清は、ガイドラインに準じて実施し、いわゆる予防的郭清においては、併存症等によりリスクの高い症例および75歳以上は省略する。手術単独では外科的剥離面確保が困難と想定される症例に対してのみ術前化学放射線治療(CRT)を施行している。
【対象と方法】対象は2011年から2024年12月までに、cStage II/IIIの原発性直腸癌に対してロボット支援手術を施行した1009例。多発癌、重複癌は除外した。短期成績および長期成績(長期成績は2020年12月までの症例)を後ろ向きに検討した。
【結果】年齢中央値66歳、男性652例/女性357例、BMI中央値22.8kg/m2、腫瘍局在RS/Ra/Rb,P:206/194/609例、cStage II/III:275/734例。術前CRT施行例は67例(6.6%)であった。術式は前方切除763例/直腸切断術143例/括約筋間切除93例/ハルトマン手術10例。側方郭清431例(42.7%)、隣接臓器合併切除113例(11.2%)に実施。手術時間中央値277分、出血量中央値6 ml、開腹移行は1例(0.1%)。術後合併症(Clavien-Dindo分類):Grade≥II 152例(15.1%)、Grade≥III 53例(5.3%)、うち縫合不全37例(3.7%)。p(yp)Stageは CR,0/I/II/III/IV:6/180/316/495/10例、癌遺残R0/R1/R2:999/9/1例。観察期間中央値5.1年で、5年全生存率95.7%、5年無再発生存率77.2%、5年累積局所再発率3.0%。術前CRT施行例においては、5年全生存率92.8%、5年無再発生存率64.1%、5年累積局所再発率7.2%であった。
【結論】局所進行直腸癌に対する治療成績は良好であった。今後は手技のさらなる精緻化に加え、治療目的を明確にした戦略の構築が望まれる。