講演情報

[SY1-7]局所進行直腸癌に対するTNT療法の多施設共同前向き第II相試験:ENSEMBLE-1試験の長期成績とctDNAによる治療効果予測

三代 雅明1, 賀川 義規1, 渡邉 純2, 安藤 幸滋3, 植村 守4, 諏訪 雄亮5, 井上 彬6, 西沢 佑次郎7, 浜部 敦史4, 波多 豪4, 奥谷 浩一8, 坂東 英明9, 大庭 幸治10, 吉野 孝之9, 沖 英次3 (1.大阪国際がんセンター消化器外科, 2.関西医科大学下部消化管外科学講座, 3.九州大学大学院消化器・総合外科, 4.大阪大学大学院消化器外科学, 5.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 6.市立池田病院消化器外科, 7.大阪急性期・総合医療センター消化器外科, 8.札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座, 9.国立がん研究センター東病院消化管内科, 10.東京大学大学院情報学環・学際情報学府)
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【はじめに】我々は、局所進行直腸癌に対するTNTの有効性、安全性を検討する多施設共同臨床第II相試験:ENSEMBLE-1試験(jRCTs051200113)を実施してきた。今回、本試験の登録から3年の長期成績ならびにctDNAによる治療効果予測能を報告する。
【方法】適格基準は20歳以上、肛門縁から12cm以内、cT3-4N0M0またはTanyN+M0で根治切除可能な局所進行直腸癌とした。短期放射線療法(SCRT) 5Gy×5日(計25Gy)+CAPOX(6コース)後、直腸間膜全切除を治療プロトコールとし、臨床的完全奏効(cCR)が得られた場合は、非手術的治療(NOM)を許容した。主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR)率とした。ctDNAはSignateraを用いて測定した。
【結果】
合計30例が登録され、cT2/T3/T4:1/25/4例であり、cN0/N1/N2:13/14/3例であった。TMEとNOMはそれぞれ20例と7例に実施され、6/20例でpCRが観察され(30%[95%CI 14.0%-50.8%])、主要エンドポイントは達成された。観察期間中央値は38.6ヶ月(5.3-48.5)であり、3年の無再発生存率・全生存率は75.9%・93.1%で、再発は4例(肺3例、肺+肝臓1例)に認められた。NOM群では2例に再増大がみられ、1例は他病死、4例はNOM継続中である。pCRまたはNOM継続したtrueCRは10例 (33%)であった。SCRT後、CAPOX4コース後、TNT後のctDNA statusはTNTの治療効果と有意差をもって相関し、特にtrueCRは全例でTNT後のctDNAは陰転化し、non-trueCRは69%でctDNA positive(P<0.001)であった。
【結語】
局所進行直腸癌に対するSCRT+CAPOX6コースのTNTは長期成績においても海外の既報通りの有効性を示し、ctDNAのTNTの効果予測因子としての有効性が示唆された。現在、本邦における第III相試験ENSEMBLE(NCT05646511/jRCTs031220342)が進行中である。