講演情報
[SY2-1]クローン病における術中全小腸内視鏡(ICE)を用いた粘膜評価の安全性と可能性
三上 洋平1, 水島 一郎1, 角田 潤哉2, 吉松 裕介1, 杉本 真也1, 清原 裕貴1, 筋野 智久1, 髙林 馨1, 門野 政義2, 清島 亮2, 茂田 浩平2, 岡林 剛史2, 金井 隆典1 (1.慶應義塾大学医学部内科学(消化器), 2.慶應義塾大学医学部一般・消化器外科)
背景: クローン病(CD)の治療目標の一つに内視鏡的寛解があり、特に術後の臨床的寛解と関連している。CDの活動性評価のゴールドスタンダードは依然として内視鏡検査であるが、狭窄などを理由に術前の腸管における疾患活動性の評価が不十分な症例も多く、術中所見と病態活動性をモニタリングするための比較的非侵襲的なバイオマーカーや画像診断結果に基づいて術後の治療法が選択される。術中全小腸内視鏡(intraoperative complete enteroscopy: ICE)は、外科医と内科医が共同で行う内視鏡検査であり、手術中に小腸全体のリアルタイムな炎症状態の把握が可能である。本研究の目的は、ICEの安全性と実施可能性を評価することである。
方法: 2018年4月から2024年12月まで、単一施設で後ろ向き観察研究を実施した。腸管切除およびICEを受けたCD患者を対象に、臨床情報、内視鏡検査および安全性に関するデータを検討した。トライツ靭帯から切断部位までの全小腸観察の達成率と安全性について検討した。
結果: ICEを受けた61人の患者のうち、CD以外を除外した54人のCD患者が解析された。年齢中央値は44.0歳で、CDの罹病期間中央値は16.7年であった。ICE関連の死亡例や重篤な出血は報告されておらず、完全内視鏡率は85.4%(n= 47/54)であった。
結論: 腸管切除を受けたクローン病患者に対する外科医と内科医の協調的な検査であるICEは、安全に実施可能であった。残存腸管における粘膜治癒・炎症状態を早期に把握することにより、術中の切除範囲の決定や術後の治療方針の選択に寄与することが示唆された。
方法: 2018年4月から2024年12月まで、単一施設で後ろ向き観察研究を実施した。腸管切除およびICEを受けたCD患者を対象に、臨床情報、内視鏡検査および安全性に関するデータを検討した。トライツ靭帯から切断部位までの全小腸観察の達成率と安全性について検討した。
結果: ICEを受けた61人の患者のうち、CD以外を除外した54人のCD患者が解析された。年齢中央値は44.0歳で、CDの罹病期間中央値は16.7年であった。ICE関連の死亡例や重篤な出血は報告されておらず、完全内視鏡率は85.4%(n= 47/54)であった。
結論: 腸管切除を受けたクローン病患者に対する外科医と内科医の協調的な検査であるICEは、安全に実施可能であった。残存腸管における粘膜治癒・炎症状態を早期に把握することにより、術中の切除範囲の決定や術後の治療方針の選択に寄与することが示唆された。