講演情報

[SY2-11]当院における潰瘍性大腸炎に対するJAK阻害薬治療の実績

高鹿 美姫, 米澤 麻利亜, 伊藤 亜由美, 中村 真一, 中井 陽介 (東京女子医科大学病院消化器内科)
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【目的】現在、本邦では3剤のJAK阻害薬が保険承認されている。今回、当院における潰瘍性大腸炎(UC)におけるJAK阻害薬3剤(トファシチニブ(TOF)、フィルゴチニブ(FIL)、ウパダシチニブ(UPA))の有効性、安全性について比較すること目的とする。
【方法】2018年11月から2024年12月にUC増悪に対しJAK阻害薬が投与された症例を対象とした。患者背景、臨床的寛解率、安全性を検討した。疾患活動性はpartial Mayo score(PMS)を用い、PMS≤2かつ各スコア1点以下、血便サブスコア0点を寛解と定義した。
【結果】症例はTOF34例(男性n=21、年齢中央値36.9歳)、FIL15例(男性n=12、年齢中央値39.4歳)、UPA9例(男性n=6、年齢中央値39.8歳)であった。疾患活動性(PMS中央値)はそれぞれTOF 5.5点、FIL 4点、UPA 6点であった。生物学的製剤もしくは低分子化合物の使用歴はTOF 44.1%、FIL 20%、UPA 55.6%であった。投与8週後での臨床的寛解率はTOF 76.5%、FIL 66.7%、UPA 77.8%であり、TOF・UPA はFILと比較し臨床的寛解率が高かった。また安全性はTOF 12例、FIL 2例、UPA 1例で併発症(帯状疱疹、皮疹、ざ瘡など)を認めたが、心血管イベントや悪性腫瘍などの重篤な合併症は認めなかった。
【結論】JAK阻害薬はいずれも投与8週後から高い有効性が示された。UPAは背景としてFIL・TOFに比べ疾患活動性および生物学的製剤の使用率が高いにもかかわらず、高い有効性を示しており、難治例に対する有用性が示唆された。