講演情報
[SY3-5]慢性裂肛に対する振り分け結紮術の長期成績
畑 嘉高 (畑肛門医院)
【緒言】裂肛に対する治療は排便コントロールを始めとする保存的療法から外科的治療まで様々である。当院での治療変遷は1930年代から1970年代までは難治性の肛門潰瘍や肛門ポリープを伴う慢性裂肛に対して腐食塗布療法とゴムバンド結紮の併用で治療を行っていた。その後腐食療法は徐々に行われなくなり、1980年代から2000年代までは器質的な肛門狭窄がないが肛門のトーヌスが強い症例には塩酸キニーネ注射による持続的な肛門括約筋の過緊張を解除することで機能的な肛門狭窄の治療を行い、肛門ポリープなどの器質的な病変を伴う慢性裂肛には振り分け結紮術を行っていた。しかし振り分け結紮術は強度の狭窄を伴う慢性裂肛に対しては一回の施術で十分な狭窄解除が難しく数回の施術を要する例を経験したことから近年(2010年代~)では少なくとも局所麻酔下に肛門管内の病変部が確認でき、病変部を一括に運針可能な程度の慢性裂肛を主な適応としている。これまで振り分け結紮術の長期成績は報告されてこなかったので今回報告する。
【対象】2010年4月1日から2015年3月31日までに強度の肛門狭窄を伴わない慢性裂肛に対して当院で振り分け結紮術を行い1年以上の経過を確認できた症例
【方法】2025年3月31日の時点で対象患者の診療録を基に総患者数、年齢、観察期間、再発例について調査した。
【結果】総患者数42例(男性:15例、女性:27例)、年齢17~80歳(平均47歳)、観察期間1年1日~13年212日(平均4.8年)、再発が3例(7.1%)であった。慢性裂肛を再発した内の2例が再手術となった。
【結語】当院では古典的な治療法にこだわりその工夫を受け継ぐようにしている。淘汰された治療法もあるが、将来の肛門科診療に残せるものを検討していくためにエビデンスを追求していく必要がある。
【対象】2010年4月1日から2015年3月31日までに強度の肛門狭窄を伴わない慢性裂肛に対して当院で振り分け結紮術を行い1年以上の経過を確認できた症例
【方法】2025年3月31日の時点で対象患者の診療録を基に総患者数、年齢、観察期間、再発例について調査した。
【結果】総患者数42例(男性:15例、女性:27例)、年齢17~80歳(平均47歳)、観察期間1年1日~13年212日(平均4.8年)、再発が3例(7.1%)であった。慢性裂肛を再発した内の2例が再手術となった。
【結語】当院では古典的な治療法にこだわりその工夫を受け継ぐようにしている。淘汰された治療法もあるが、将来の肛門科診療に残せるものを検討していくためにエビデンスを追求していく必要がある。