講演情報

[SY3-7]東北地方における肛門外科医の育成と現状の課題

八子 直樹1, 八子 博貴2 (1.医療法人桜樹会八子医院外科肛門科, 2.福島県立医科大学消化管外科学講座)
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<はじめに>日本大腸肛門病学会の専門医取得には学会の認定施設、関連施設での研修が必須である。東北地方には認定施設が22か所あるが、肛門専門医療機関はない。現在、東北地方で肛門外科医として地域医療に貢献しているが、過去を振り返り、現状の課題や地方における肛門外科医の育成について考えたい。
<現在まで>外科医として多忙の中、生活習慣の悪さから3度の内痔核を経験し、2000年にPPHを受けた。術後後出血や遷延する疼痛を経験し、肛門外科を学ぶ決意をした。地元で肛門外科医として認知されるために集患と研究会や学会発表を通じて、専門医から評価を受け、日常診療にフィードバックすることを継続してきた。具体的な各疾患に対する術式として、痔核にはPPHからLEへ、2005年のALTA療法導入後はALTA単独、ALTA併用療法など多岐にわたる術式を選択している。痔瘻については切開開放術、シートン法、括約筋温存術、深部痔瘻にはハンレー変法を中心に肛門機能の温存を図る術式を選択している。裂肛、特に肛門狭窄症例には皮弁による肛門形成術を導入している。現状の課題としては、マンパワー不足やスタッフ教育に時間が取れないことが挙げられる。
<将来の展望>この10年間で医師数は増加しているが、外科医、消化器外科医は増えておらず、高齢化が深刻な課題となっている。特に東北地方でもこの問題は顕著である。肛門は排便という重要な生理機能を有し、診療や治療には専門性が必要である。全国各地の専門病院で研修を受けることは重要だが、実際には時間を取ることが困難である。東北には3つの研究会があり、研修の場として参加し、症例検討のハードルを下げることが必要である。