講演情報
[VPD1-2]腹腔鏡下/ロボット支援下結腸癌手術における体腔内吻合と体腔外吻合の短期・長期成績
夏目 壮一郎1, 川崎 一生1, 吉岡 佑一郎1, 大井 悠1, 大野 吏輝1, 川合 一茂2, 長嵜 寿矢1, 福田 俊1 (1.埼玉県立がんセンター消化器外科, 2.がん・感染症センター都立駒込病院大腸外科)
【背景】体腔内吻合は腸管蠕動早期回復などのメリットがある一方で、腹腔内汚染や播種のリスクが懸念されるが、腫瘍学的安全性を示す長期成績の報告は未だ少ない. 2施設の体腔内・体腔外吻合の短期・長期成績をPropensity score matching(PSM)を用い比較検討した.
【対象・方法】施設A(2022-2024年)及び施設B(2019-2023年)においてcStage I-III初発結腸癌に対し鏡視下結腸切除術を施行した症例のうち, 多発癌・DST吻合症例を除外した485例(A:140例, B:345例)を対象とした. 体腔内吻合群(IA群)と体腔外吻合群(EA群)をPSMにてマッチングし後方視的に比較した. 共変量は,年齢,性別,BMI,ASA-PS,腫瘍局在,cStageとした.
【結果】IA群が117例, EA群が368例であった. マッチング後はそれぞれ101例であった. 手術成績は, 手術時間中央値(分)が224/163 (p<0.001) とIA群で有意に長かった. 出血量中央値(ml)が0/10(p<0.001)とIA郡で有意に少なく, 術後初回排ガス日, 術後初回排便日, 術後在院日数のいずれもIA群で有意に短かった(すべてp<0.001). 術後合併症はCD分類Grade2以上が13 (12.9%) / 10 (9.9%) (p=0.66)で両群に差を認めず, 腹腔内感染は両群ともに1例であった. 病理学的にはDM(cm)は12.0/10.5(p=0.0014), PM(cm)は12.0/12.0(p=0.33), 郭清リンパ節個数は25/25(p=0.75)でDMはIA群で長かった. IA群のうちPfannenstiel切開を行なった症例(N=86)を正中切開症例と比較すると腹壁瘢痕ヘルニアの発生率が有意に少なかった(2.3%vs13.8%,p=0.005). 予後はDFS (3年DFS: 93.6% vs 95.3%, p=0.56), OS (3年OS: 94.4% vs 98.6%, p=0.61)ともに差を認めなかった. 腹膜播種再発はIA群では1例も認めなかった.
【結語】体腔内吻合は腸管蠕動早期回復や在院日数の短縮に寄与し, Pfannenstiel切開を行うことで腹壁瘢痕ヘルニアが減少していた. 一方、腹腔内感染や播種再発の頻度は体腔外吻合と同等である.
【対象・方法】施設A(2022-2024年)及び施設B(2019-2023年)においてcStage I-III初発結腸癌に対し鏡視下結腸切除術を施行した症例のうち, 多発癌・DST吻合症例を除外した485例(A:140例, B:345例)を対象とした. 体腔内吻合群(IA群)と体腔外吻合群(EA群)をPSMにてマッチングし後方視的に比較した. 共変量は,年齢,性別,BMI,ASA-PS,腫瘍局在,cStageとした.
【結果】IA群が117例, EA群が368例であった. マッチング後はそれぞれ101例であった. 手術成績は, 手術時間中央値(分)が224/163 (p<0.001) とIA群で有意に長かった. 出血量中央値(ml)が0/10(p<0.001)とIA郡で有意に少なく, 術後初回排ガス日, 術後初回排便日, 術後在院日数のいずれもIA群で有意に短かった(すべてp<0.001). 術後合併症はCD分類Grade2以上が13 (12.9%) / 10 (9.9%) (p=0.66)で両群に差を認めず, 腹腔内感染は両群ともに1例であった. 病理学的にはDM(cm)は12.0/10.5(p=0.0014), PM(cm)は12.0/12.0(p=0.33), 郭清リンパ節個数は25/25(p=0.75)でDMはIA群で長かった. IA群のうちPfannenstiel切開を行なった症例(N=86)を正中切開症例と比較すると腹壁瘢痕ヘルニアの発生率が有意に少なかった(2.3%vs13.8%,p=0.005). 予後はDFS (3年DFS: 93.6% vs 95.3%, p=0.56), OS (3年OS: 94.4% vs 98.6%, p=0.61)ともに差を認めなかった. 腹膜播種再発はIA群では1例も認めなかった.
【結語】体腔内吻合は腸管蠕動早期回復や在院日数の短縮に寄与し, Pfannenstiel切開を行うことで腹壁瘢痕ヘルニアが減少していた. 一方、腹腔内感染や播種再発の頻度は体腔外吻合と同等である.