講演情報
[VPD1-4]ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合の治療成績
田中 佑典, 塩見 明生, 眞部 祥一, 笠井 俊輔, 小嶋 忠浩, 井垣 尊弘, 森 千浩, 髙嶋 祐助, 石黒 哲史, 坂井 義博, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 八尾 健太, 横山 希生人, 小林 尚輝, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
【背景】ロボット支援手術のみを対象とした結腸癌に対する体腔内吻合の治療成績の報告は少ない。【目的】ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合の短期、中期成績を評価すること。【対象と方法】2019年11月から2024年3月まで、Stage I-III結腸癌(盲腸〜下行結腸)に対して、ロボット支援手術で根治目的に切除を行った症例を対象とし、DST吻合、多発癌、重複癌、術前化学療法施行症例は除外した。体腔外吻合を行った症例をEA群、体腔内吻合を行なった症例をIA群とし、両群の患者背景、短期成績を比較した。また、再発に関連する単変量、多変量解析を行った。【当科の体腔内吻合手技】前処置困難症例は体腔内吻合の適応外としている。切除標本が体腔内に遺残する時間が短くなるよう、小開腹(正中切開)先行とし、腸管切離後速やかに標本摘出を行う。切除標本内の残便状況を確認後、再ドッキングし吻合操作を行う。残便が多い場合は体腔外吻合を選択することもある。助手が自動縫合機を操作し、術者は3本の鉗子を用いて、自動縫合機の向きに再建腸管を合わせるように調整する。自動縫合機と再建腸管の長軸が平行である場合には主にOverlap法を、垂直である場合には主にDelta法を選択している。【結果】対象は252例、EA/IA群=143/109例。IA群は有意に若年で、BMIが高かった。cT、cN、cStageに有意差はなかった。短期成績において、手術時間はEA/IA群=184/197分で、IA群で有意に手術時間が長かったが、出血量はEA/IA群=0/0mL、術後合併症発生率(CD grade II以上)はEA/IA群=9.1/7.3%で、いずれも有意差はなかった。pT、pN、pStage、PM、DMにおいても有意差はなかった。単変量および多変量解析の結果、体腔内吻合は腹膜播種を含む再発、ならびに腹膜播種再発のいずれにおいてもリスク因子として同定されなかった(観察期間中央値22ヶ月)。【結語】ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合は、短期、中期成績において安全に施行可能であり、症例に応じて選択肢可能である。当科のロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合の手技をビデオで共覧する。