講演情報
[VPD2-1]一次口からの再開通を防ぐ括約筋温存術- Subtotal fistulectomy and sliding anoderm flap -
角田 明良 (安房地域医療センター外科)
背景: 痔瘻に対する括約筋温存術の一つとしてLigation of the Intersphincteric Fistula Tract (LIFT)が提唱されて以降、LIFT(変)法についての知見が集積されている。レビューによれば奏功率は 70%で術式の改良が望まれる。演者は低位筋間痔瘻に対して行ったLIFT変法の非治癒率を8% (6/74)、再発率を11% (6/74)と報告しているが、その原因として一次口からの再開通が考えられる。
目的: 1)再開通を防ぐために、一次口~上皮下瘻管の処置が異なるLIFT関連術式を行ったのでその成績を明らかにする。2)最も成績が良かった術式の経験を集積する。
方法: 1)2017年12月から2023年1月までの間に痔瘻と診断された153例を対象として、一次口~上皮下瘻管の処置が異なる5通りのLIFT関連術式を順に行った。内訳は、A法: transanal advancement flap repair+LIFT変法、B法: 上皮下瘻管切離+LIFT変法、C法: 上皮下瘻管の内括約筋側結紮·上皮側切離+LIFT変法、D法: 上皮下瘻管両側結紮·切離+LIFT変法、E法: 上皮下瘻管の内括約筋側結紮+一次口側の上皮下瘻管切除+上皮弁移動術 (Subtotal fistulectomy and sliding anoderm flap)。2)5つの術式で最良の術式の集積結果を示す。結果はmean (SD)で示す。
成績: 1)A、 B、 C、 D、 E法の一次治癒率は64% (7/11)、70% (28/40)、88% (36/46)、73% (19/26)、100% (30/30)とE法は他群より有意に高率であった。一次治癒例から再発例を除いた手術の奏効率はA、 B、 C、 D、 E法でおのおの70、68、70、62、100%であった(Colorectal Dis 2024)。2)この成績を踏まえて、2024年12月までにE法の手術経験が計80例集積された。痔瘻のtypeはintersphincteric / transsphinctericが23/57例で、後者には坐骨直腸窩痔瘻4例が含まれていた。年齢は51(16)歳、男女比は73:7、手術時間は50(19)分、出血量は8(9)ml、多発痔瘻は7例あり同じ術式を行った。一次治癒率は98% (78/80)で、治癒までの期間は12(5)週であった。術後経過観察期間は20(12)か月で、この間に再発例はなかった。
結論: sliding anoderm flapを使用した括約筋温存術式で一次口からの再開通が抑制され手術成績は向上した。
目的: 1)再開通を防ぐために、一次口~上皮下瘻管の処置が異なるLIFT関連術式を行ったのでその成績を明らかにする。2)最も成績が良かった術式の経験を集積する。
方法: 1)2017年12月から2023年1月までの間に痔瘻と診断された153例を対象として、一次口~上皮下瘻管の処置が異なる5通りのLIFT関連術式を順に行った。内訳は、A法: transanal advancement flap repair+LIFT変法、B法: 上皮下瘻管切離+LIFT変法、C法: 上皮下瘻管の内括約筋側結紮·上皮側切離+LIFT変法、D法: 上皮下瘻管両側結紮·切離+LIFT変法、E法: 上皮下瘻管の内括約筋側結紮+一次口側の上皮下瘻管切除+上皮弁移動術 (Subtotal fistulectomy and sliding anoderm flap)。2)5つの術式で最良の術式の集積結果を示す。結果はmean (SD)で示す。
成績: 1)A、 B、 C、 D、 E法の一次治癒率は64% (7/11)、70% (28/40)、88% (36/46)、73% (19/26)、100% (30/30)とE法は他群より有意に高率であった。一次治癒例から再発例を除いた手術の奏効率はA、 B、 C、 D、 E法でおのおの70、68、70、62、100%であった(Colorectal Dis 2024)。2)この成績を踏まえて、2024年12月までにE法の手術経験が計80例集積された。痔瘻のtypeはintersphincteric / transsphinctericが23/57例で、後者には坐骨直腸窩痔瘻4例が含まれていた。年齢は51(16)歳、男女比は73:7、手術時間は50(19)分、出血量は8(9)ml、多発痔瘻は7例あり同じ術式を行った。一次治癒率は98% (78/80)で、治癒までの期間は12(5)週であった。術後経過観察期間は20(12)か月で、この間に再発例はなかった。
結論: sliding anoderm flapを使用した括約筋温存術式で一次口からの再開通が抑制され手術成績は向上した。