講演情報
[VSY1-6]直腸Rb病変に対する peranal endoscopic myectomy の有効性と安全性の検討
金坂 卓, 安藤 徳晃, 東野 克温, 海陸 吉貴, 塙 悠佑, 平野 佑一, 伊藤 典明, 松山 和輝, 佃 頌敏, 森田 宗新, 田中 佳実, 加藤 穣, 吉井 俊輔, 山本 幸子, 東野 晃治, 上堂 文也, 道田 知樹, 石原 立 (大阪国際がんセンター消化管内科)
【背景】粘膜下層の高度線維化は内視鏡的粘膜下層剥離術における技術的困難因子の一つである。ただし、下部直腸病変は内視鏡的に内輪筋ごと切除すること (peranal endoscopic myectomy [PAEM]) が技術的には可能である。当院で施行したPAEMの有効性と安全性を評価した。【方法】2019年1月から2024年12月までの期間に当院で直腸Rb病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した症例のうち、内輪筋の深部で剥離した結果として切除後の潰瘍底に外縦筋が露出した症例をPAEM症例と判断して、解析対象とした。年齢、性別、抗血栓薬の内服状況、内視鏡所見、内視鏡治療成績(一括切除率、治療時間、縫縮の有無)、組織学的診断結果、治療後在院日数、治療後28日以内の有害事象を後ろ向きに評価した。【結果】25症例に対してPAEMが行われた。年齢の中央値は66歳(38–89歳)、女性が13例(58%)、初回治療として行われたものが21例、内視鏡治療後遺残疑いに対してサルベージ治療として行ったものが4例であった。一括切除率は100%(25/25)、治療時間の中央値は72分(32–372分)、縫縮は13例(52%)で行われた。組織学的診断結果は、腺癌が19例(Tis 3例、T1 11例、T2 5例)、その他6例であった。垂直断端陰性割合は、pT1癌で64%(7/11)、pT2癌で0%(0/5)であった。治療後在院日数の中央値は4日(4–7日)で、止血術を要した後出血および遅発性穿孔はともに認めなかった。【結論】PAEMは深部断端の評価においては課題が残るが、重篤な有害事象なく施行可能であった。