講演情報
[VSY2-5]ロボット支援結腸癌手術における費用と成績の検討:4機種横断的解析
隈本 力1, 大塚 幸喜2, 松本 航一1, 近石 裕子1, 辻村 和紀1, 谷口 寛子1, 上嶋 徳1, 小林 陽介1, 稲熊 岳1, 大村 悠介1, 廣 純一郎1, 松岡 宏1, 升森 宏次1, 宇山 一朗2, 須田 康一1 (1.藤田医科大学総合消化器外科, 2.藤田医科大学先端ロボット・内視鏡手術学講座)
背景:ロボット支援大腸切除術は直腸癌だけでなく結腸癌にも適応が拡大しているが、現状では直腸癌にはロボット加算が認められている一方で、結腸癌ではロボット加算がなく、病院収益の課題が顕在化している。 ロボットシステムには購入、リース、レンタルなど様々な契約形態があり、納入価も施設により異なるため、本研究では定価ベースでの材料費と短期成績を比較検討した。
方法と結果:2022年11月~2024年6月に当院で施行したFEEA吻合を伴う結腸癌手術120例であった。da Vinci Xi、SP、Hinotori、Hugoの4機種の1症例あたり基本材料費(吻合器除く、定価ベース)はXi205,570円、Hinotori190,068円、SP249,033円、Hugo196,280円であった。SPは他機種と比較して高額であるが、その独特なシステムは多様な術式への応用可能性を有している と考えられた。4機種ともエネルギーデバイスは使用ず、バイポーラとモノポーラのみで手術を施行したが、短期成績(手術時間、出血量、合併症率、術後在院日数)に有意差は認められなかった。一方、結腸癌手術では自動合器加算が可能であるため単純なコスト比較は困難であるが, FEEA吻合では体腔内が体腔外に比べ定価ベースで高額であった(体腔内195,000円、体腔外96,000円)。体腔内群92例、体腔外群28例の吻合部関連Clavien-Dindo Grade II以上合併症率および術後在院日数を比較したところ、合併症率に有意差は認められなかった(P=0.434)。一方で、体腔内群では術後在院日数が有意に短縮 していた(P=0.041)。多変量線形回帰分析においても、体腔内吻合は在院日数短縮の独立因子であることが示された(B=-3.442, P=0.049)。
結語:4機種ともコスト意識を持ち、同様の手術を安全に施行できた 。吻合法はコストと長期成績を踏まえた適応選択が、今後の運用において重要であると考えられる。
方法と結果:2022年11月~2024年6月に当院で施行したFEEA吻合を伴う結腸癌手術120例であった。da Vinci Xi、SP、Hinotori、Hugoの4機種の1症例あたり基本材料費(吻合器除く、定価ベース)はXi205,570円、Hinotori190,068円、SP249,033円、Hugo196,280円であった。SPは他機種と比較して高額であるが、その独特なシステムは多様な術式への応用可能性を有している と考えられた。4機種ともエネルギーデバイスは使用ず、バイポーラとモノポーラのみで手術を施行したが、短期成績(手術時間、出血量、合併症率、術後在院日数)に有意差は認められなかった。一方、結腸癌手術では自動合器加算が可能であるため単純なコスト比較は困難であるが, FEEA吻合では体腔内が体腔外に比べ定価ベースで高額であった(体腔内195,000円、体腔外96,000円)。体腔内群92例、体腔外群28例の吻合部関連Clavien-Dindo Grade II以上合併症率および術後在院日数を比較したところ、合併症率に有意差は認められなかった(P=0.434)。一方で、体腔内群では術後在院日数が有意に短縮 していた(P=0.041)。多変量線形回帰分析においても、体腔内吻合は在院日数短縮の独立因子であることが示された(B=-3.442, P=0.049)。
結語:4機種ともコスト意識を持ち、同様の手術を安全に施行できた 。吻合法はコストと長期成績を踏まえた適応選択が、今後の運用において重要であると考えられる。