講演情報

[VSY2-8]適切な手術時間を意識したロボット支援大腸切除術 -無理のない縦2件を目指して-

稲田 涼, 中尾 真綾, 坂本 真也, 八木 朝彦, 井上 弘章, 三村 直毅, 吉岡 貴裕, 田渕 幹康, 高田 暢夫, 田村 周太, 上村 直, 徳丸 哲平, 岡林 雄大, 尾崎 和秀, 渋谷 祐一 (高知医療センター消化器外科・一般外科)
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【緒言】ロボット支援手術は大腸癌に対するアプローチ法として急速に広まっている.腫瘍学的根治性や手術の安全性が何よりも重要であるが,適切な時間で手術を終えることにも留意しなくてはならない.限られた手術室・スタッフで良性疾患も含めた予定・緊急手術に対応しなくてはならない地域の基幹病院では,同一手術室でロボット支援手術を縦2件行うことが求められる.
【対象と方法】2024年に当院で大腸癌に対する切除術を行った334例のうち,ロボット支援手術を行った189例を対象とし,治療成績を後方視的に検討した.
【結果:連続変数は中央値】ロボット支援手術189例の年齢71歳,pStage 0 /I / II / III / IV:5 / 51 / 63/ 51/ 17,結腸 / 直腸:57 / 132であった.24例に側方郭清を併施し,手術時間は直腸138分(側方郭清なし / あり:126分 / 221分),結腸135分,コンソール時間は直腸63分(側方郭清なし / あり:59分 / 143分),結腸70分,出血量5mL,腹腔鏡・開腹へのConversionはなく,1例(0.6%)剥離断端陽性となった.全合併症15%,重症合併症2.6%,入院期間9日となった.
189例に対して129日手術を行い,縦1件は11日,縦2件は112日(大腸2件:48日,他疾患+大腸:64日),縦3件は6日であった.ロボット手術縦2件を行った112日における2件目の退室時間は,定時(9:00~17:15):46%,18時まで:77%,19時まで:98%となった.
【結語】安全に無理なくロボット支援手術を縦2件行うためには,できるだけシンプルな手技の定型化、適度な助手の協力による手術時間の短縮と他職種の協力による手術間intervalの短縮を行うことが肝要である.手術ビデオとともに当院の具体的な取り組みも合わせて発表する.