講演情報

[VSY3-1]超音波メスを用いて単純化した痔核結紮切除術(LPH)

栗原 聰元1,2, 三浦 康之2, 竹山 照明1, 長谷部 行健1, 的場 周一郎2 (1.汐田総合病院外科, 2.東邦大学医療センター大森病院消化器外科)
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【はじめに】痔核は一般的な外科疾患であり、頻度も高い。痔核に対する結紮切除術の手技はやや煩雑で、術後の出血性合併症が懸念される。そこで、超音波メスを利用して、単純化されて習得が容易で、かつ合併症の少ない結紮切除術を考案した(Linear Pinched Hemorrhoidectomy:LPH)。
【対象と方法】2008年4月から2024年2月までに痔核に対して結紮切除術を施行した症例を対象とした。麻酔法は抗血栓療法中の症例は原則継続し、全身麻酔で行い、それ以外は脊髄硬膜外腔麻酔を選択した。LPHは筒型の肛門鏡を挿入し、リスター鉗子で痔核を肛門管の長軸方向に直線的に把持し、鉗子の下縁を超音波メスで切離した。創部は3-0の吸収糸で閉鎖した。手術時間、出血量、入院期間、術後合併症について従来法(Ligation & Excision:LE)と比較検討した。
【結果】観察期間中に373例に手術を施行し、LEが168例、LPHが205例であった。年齢はLEが平均60歳、LPHが67歳であった(P<0.05)。抗血栓療法をLEは33/168例(19.6%)、LPHは84/205例(41%)に施行していた(P<0.05)。術後出血はLEで2/168例、LPHで3/205例に認めた(P=1)。術後狭窄はLEで3/168例、LPHでは認めなかった(P<0.05)。浮腫はLEで3/168例、LPHでは認めなかった(P=0.09)。手術時間はLEが平均90分、LPHが64分であった(P<0.05)。出血量はLEが平均47ml、LPHが15mlであった(P<0.05)。痔核1カ所あたりの切除時間はLEが平均41分、LPHが28分であった(P<0.05)。入院期間はLEが平均11.6日、LPHが12.3日であった(P=0.27)。
【総括】超音波メスを利用し単純化した痔核結紮切除術であるLPHは、手技が容易で合併症が少なく、有用な術式である。