講演情報

[VSY3-3]当院における脱出形態を考慮した痔核根治術と治療成績

錦織 直人1, 佐々木 義之1, 錦織 ルミ子1, 錦織 麻衣子1, 尾原 伸作2, 錦織 方人1 (1.一路会錦織病院外科, 2.国保中央病院外科)
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【はじめに】当院では2018年より過不足なく粘膜-移行帯上皮-肛門上皮を温存し、痔核根部方向への粘膜上皮の吊り上げを意識した結紮切除術:Ligation and Excision with Epithelium Preserving and Lifting(以下LP法)を行っている。また複数病変においては各痔核形態に応じた術式選択を、肛門全体のバランスに留意しつつ行うことが、低合併症率、低再発率ならびに術後の排便感覚と直結していると考える。当院における手術手技と術後成績を検討し発表する。【術式選択】まず全体的なデザインを考慮しながら主痔核に対しLP法を行う。副痔核に関しては、内痔核が外側メインに存在し外痔核成分を伴うものにはブラーツ変法を、GoligherⅡ度内痔核で粘膜にゆとりがある場合はmucopexyを、静脈瘤性分が主の場合は硬化療法またはmucopexyを、肛門管内外痔核には赤外線照射を主に施行している。【術式内容】2018年1月~2024年12月の併存疾患同時手術例を除いた痔核手術件数は1456例で、LP法が主の根治術が1372例、硬化療法単独が44例、その他が40例であった。以下LP法が主の根治術1372例における検討では、LP法単独は309例、副痔核に他術式を併用した症例が1063例であった。併用術式の内訳はmucopexyが544例、ブラーツ変法が423例、赤外線照射が143例、硬化療法が85例、McGivneyが23例であった。代表的な症例の手術ビデオを供覧する。【術後成績】再発は4例(0.4%)、後出血12例(0.9%)、皮垂形成し皮垂切除施行4例、肛門ポリープ形成にて切除3例、裂肛形成2例、肛門周囲膿瘍1例、狭窄や難治創は認めなかった。またスコア表を用いた患者調査では術後90日目で「排便がスムーズ」が95%、「肛門が快適である」が87%であった。【まとめ】当院におけるLP法主体とした脱出形態を考慮した術式選択による痔核根治術は、再発率、合併症率、患者調査において概ね良好な成績であった。