講演情報
[VSY3-4]当院における開放式痔核結紮切除術 -術後合併症の検討も含めて-
森山 穂高, 栗原 浩幸, 赤瀬 崇嘉, 藤井 頼孝, 塚原 勇, 金井 忠男 (所沢肛門病院)
【はじめに】当院では,開創器を用いた開放式痔核結紮切除術を行っている.痔核手術で重要なことは,肛門機能,整容性,根治性を担保することであり,切除のデザインと痔核組織の確実な郭清がポイントとなる.また,後出血,術後狭窄の合併症を予防することも重要である.
【術式】開創器を挿入し肛門を適度に開いた状態で,皮膚切開を行う.皮膚切開の幅は狭く,またドレナージできる様に長く創を作成する.皮切後に,先端部を鉗子で把持しこれを牽引しながら皮膚および痔核組織を剝離していく.温存を意図する肛門上皮と痔核組織の間を剪刀で切離し痔核組織を切除する側の皮弁に集め,肛門上皮下に痔核組織が残らないように郭清する.剝離は内痔静脈叢の上縁まで行う.肛門上皮の十分な温存が肛門狭窄の予防となる.また当院では,根部動脈結紮ははじめに行わず、原則痔核剝離後に行っている.まずゴム輪結紮器を用いて切除する皮弁を結紮する(根部ゴム輪結紮).次に上直腸動脈を刺入結紮する(高位動脈結紮).さらに皮弁を結紮したゴム輪結紮のすぐ口側で刺入結紮を行い,その糸で切除する皮弁を結紮し,痔核組織を切除する.この二重の根部動脈の処理が後出血の予防に重要である.切除後に温存した直腸粘膜および肛門上皮は縫合閉鎖せず,生理的で自然な位置で内括約筋に縫合固定し生着させる.
【術後成績】2011年1月から2023年12月までに施行した痔核結紮切除術について検討した.同時に痔瘻や裂肛に対して根治手術を行った症例は除外した.症例数は10572例 (男性5706例,女性4866例)で、年齢は62.9±16.6歳であった.後出血は168例 (1.6%)に認め,その時期は9.3±4.6PODであった.止血は局所麻酔や腰椎麻酔下の焼灼または縫合で行った.術後に肛門拡張術を施行した症例は68例(0.6%)であった.肛門狭窄を認めた場合は,器械または用手による拡張術を行い,再手術を施行した症例は認めなかった.拡張術を施行するまでの術後期間は中央値6週であった.
【まとめ】当院で行っている開放式痔核結紮術と術後成績について述べた.肛門上皮の十分な温存と根部動脈の確実な処理が合併症の予防に重要と考える.
【術式】開創器を挿入し肛門を適度に開いた状態で,皮膚切開を行う.皮膚切開の幅は狭く,またドレナージできる様に長く創を作成する.皮切後に,先端部を鉗子で把持しこれを牽引しながら皮膚および痔核組織を剝離していく.温存を意図する肛門上皮と痔核組織の間を剪刀で切離し痔核組織を切除する側の皮弁に集め,肛門上皮下に痔核組織が残らないように郭清する.剝離は内痔静脈叢の上縁まで行う.肛門上皮の十分な温存が肛門狭窄の予防となる.また当院では,根部動脈結紮ははじめに行わず、原則痔核剝離後に行っている.まずゴム輪結紮器を用いて切除する皮弁を結紮する(根部ゴム輪結紮).次に上直腸動脈を刺入結紮する(高位動脈結紮).さらに皮弁を結紮したゴム輪結紮のすぐ口側で刺入結紮を行い,その糸で切除する皮弁を結紮し,痔核組織を切除する.この二重の根部動脈の処理が後出血の予防に重要である.切除後に温存した直腸粘膜および肛門上皮は縫合閉鎖せず,生理的で自然な位置で内括約筋に縫合固定し生着させる.
【術後成績】2011年1月から2023年12月までに施行した痔核結紮切除術について検討した.同時に痔瘻や裂肛に対して根治手術を行った症例は除外した.症例数は10572例 (男性5706例,女性4866例)で、年齢は62.9±16.6歳であった.後出血は168例 (1.6%)に認め,その時期は9.3±4.6PODであった.止血は局所麻酔や腰椎麻酔下の焼灼または縫合で行った.術後に肛門拡張術を施行した症例は68例(0.6%)であった.肛門狭窄を認めた場合は,器械または用手による拡張術を行い,再手術を施行した症例は認めなかった.拡張術を施行するまでの術後期間は中央値6週であった.
【まとめ】当院で行っている開放式痔核結紮術と術後成績について述べた.肛門上皮の十分な温存と根部動脈の確実な処理が合併症の予防に重要と考える.