講演情報

[VWS1-1]ロボット支援下大腸癌手術教育 技術認定取得を目指して~Propensity Score Matchingを用いたプロクターと若手外科医によるロボット支援大腸癌手術の短期成績の比較検討~

山川 雄士, 加藤 潤紀, 浅井 宏之, 加藤 瑛, 鈴木 卓弥, 牛込 創, 高橋 広城, 瀧口 修司 (名古屋市立大学消化器外科)
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【背景】若手外科医がいかに術者としてのトレーニングを積むかは重要な課題である。【若手外科医のロボット教育】当科では各手術ごとに設けたパートごとに時間を設けて執刀をする「ロールシェアリング手術」により若手外科医はロボット手術の操作技術を習得する。当グループではさらに、左側結腸癌と直腸癌手術であれば腹膜切開から下腸間膜動脈の切離までは必ず執刀をさせ、同パートの手術時間や、技術を点数化し評価をし一定の基準を満たせば、他パートを執刀させる。【対象】2019年5月~2025年3月までに行ったロボット大腸癌手術472例を対象とし、単一のプロクター1人の執刀(P群)297例と若手外科医8人がロールシェアリング手術(R群)で行った175例を、Propensity Score Matching(PSM)を行い、P群とR群の短期成績を検討した。またR群における左側結腸癌と直腸癌手術における腹膜切開から下腸間膜動脈の切離までを行った89例を対象に手術時間の検討を行った。【結果】PSM後の患者背景は両群で差を認めなかった。手術時間は P群174(101-306)分、R群225(151-285)分で有意にP群で短かった(p<0.001)。出血量、術後在院日数は両群で有意差を認めなかった。Clavien-Dindo Grade I以上の合併症はP群6.6%、R群5.5%と有意差を認めなかった。両群、開腹移行は認めなかった。R群における腹膜切開~下腸間膜動脈の切離までの時間は1-10例までは30(13-45)分、11例目以降19(12-28)分と有意に11例目以降で手術時間は短縮した(p<0.01)。【結論】ロボット大腸癌手術におけるPSM後のプロクターと若手外科医による短期成績は手術時間はプロクターの方が早いが、出血量、術後合併症に有意差なく、許容される結果であった。腹膜切開から下腸間膜動脈の切離はロボット手術における若手教育の有効な指標となりうる。