講演情報

[VWS1-2]技術認定取得を目指したロボット支援大腸癌手術教育

笠井 俊輔, 塩見 明生, 眞部 祥一, 田中 佑典, 小嶋 忠浩, 井垣 尊弘, 森 千浩, 石黒 哲史, 坂井 義博, 髙嶋 祐助, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 八尾 健太, 横山 希生人, 小林 尚輝, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
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【背景】当院ではS状結腸癌に対して腹腔鏡手術(Lap-S)でレジデントが技術認定取得を目指してきたが、2023年7月よりda Vinci Xiを用いたロボット支援手術(Ro-S)で取得を目指している。執刀経験が少ない若手外科医がRo-Sを完遂するために定型化を行い、プロクターによるデュアルコンソールでの指導下に、部分執刀から修練を開始する。シミュレーターを用いて日々トレーニングを行い、ビデオカンファレンスで学びを共有し、模擬臓器を用いたトレーニングも定期的に行うことで、執刀時以外でも修練を重ね、Ro-Sを完遂する。
【目的】当院のRo-Sの定型化された手技と指導を提示し、Lap-Sと比較したRo-Sの技術認定取得を目指した大腸癌手術教育の現状について評価すること。
【方法】Ro-Sは直腸切除術に準じる形で施行可能と考えられたが、以下の工夫を追加して定型化し、各パートで目標時間を設定した。①ポート配置:Ro-Sでは右下腹部を12mmポートとし、腸管切離の際には助手が腹腔鏡用リニアステープラーを使用する。また、上腹部操作での操作性向上のために左上腹部ポートは頭側内側に配置する。②間膜処理:直腸切除より厚い間膜を円滑に処理するために、Ro-SではVessel Sealer Extendを用いて左側、右側の順で間膜処理を行う。大腸癌手術教育の現状として、S状結腸癌に対するレジデント執刀症例について、Lap-S(2018年4月~2023年6月)とRo-S(2023年7月~2024年9月)で治療成績を比較し、技術認定取得状況について評価した。
【結果】対象期間に15人のレジデントがLap-S 445例、7人のレジデントがRo-S 103例を執刀した。Lap-S、Ro-Sで手術時間(171min vs. 176min)、術後合併症Clavien-Dindo Grade≥II(3.8% vs. 4.9%)に有意差はなかった。Ro-Sを完遂に至るまでの全ロボット支援手術部分執刀経験数中央値は25 [13-43]例であった。技術認定取得状況はLap-Sで100%(13/13、初回申請9名)、Ro-Sで100%(5/5、初回申請5名)であり、2024年度は4名がRo-Sで取得した。
【結語】Ro-Sは若手外科医が習得すべき基本的な術式であり、技術認定取得を目指した修練がすべての大腸癌手術の基礎となる。