講演情報
[VWS2-1]肥満症例に対する腹腔鏡下大腸手術の工夫と治療成績
坂本 貴志, 野口 竜剛, 松井 信平, 向井 俊貴, 山口 智弘, 秋吉 高志 (がん研有明病院消化器センター大腸外科)
【背景】大腸癌手術における鏡視下手術は標準的な術式となりつつあるが、肥満症例では、手術操作の困難性に伴う手術時間や出血量、術後合併症の増加が懸念される. 本研究では、当院における肥満症例に対する鏡視下手術の治療成績について後方視的に検討した.
【方法】2015年から2019年に当院で腹腔鏡下大腸切除術を施行したpStage 0(yCR)-IIIの大腸癌患者を対象とした。BMIに基づき4群に分類(Underweight n=200, Normal n=1456, Overweight n=456, Obese n=75). 患者背景(年齢、性別、pStageなど)、短期成績(手術時間、出血量、術後合併症、在院日数)、長期成績(DFS、OS)を比較. 統計解析にはχ二乗検定、ANOVA、Kaplan-Meier法、Cox比例ハザードモデルを用いた.
【結果】患者背景では、BMI群間で年齢、性別に有意差を認めた. 詳細には、Obese群はNormal群と比較して若年者の割合が多く、Overweight群では男性の割合が高かった. 短期成績では、Overweight群とObese群でNormal群と比較して手術時間と出血量が有意に多かった(いずれもp<0.001). 病変主座、術式、術後合併症発生率、在院日数は群間で有意差を認めなかった. 全患者のpStageは0(yCR)-I 39.4%、II 28.4%、III 32.1%であり、群間での分布に有意差は認めなかった。5年DFS/OSは全患者93.1/93.5%、Normal群93.1/93.4%、Obese群93.6/94.2%であり、Obese群とNormal群で長期予後に有意差はなかった. 多変量解析の結果、ObesityはDFS(HR 0.74, p=0.48)、OS(HR 0.83, p=0.72)の独立した予後因子ではなかった.
【手技の要点】①定型に拘らず、無理のない操作でバランスの良い進行. ② 把持はなるべく避け,鉗子のシャフトやジョー全体を用いたトラクション. ③間膜損傷や剥離可能層の誤認を防ぐため、過度なトラクションの回避.
【結論】肥満症例に対する腹腔鏡下大腸手術は、手術時間と出血量の増加が見られたものの、術後合併症、在院日数、長期予後は非肥満症例と遜色なく、安全に施行可能であった.
【方法】2015年から2019年に当院で腹腔鏡下大腸切除術を施行したpStage 0(yCR)-IIIの大腸癌患者を対象とした。BMIに基づき4群に分類(Underweight n=200, Normal n=1456, Overweight n=456, Obese n=75). 患者背景(年齢、性別、pStageなど)、短期成績(手術時間、出血量、術後合併症、在院日数)、長期成績(DFS、OS)を比較. 統計解析にはχ二乗検定、ANOVA、Kaplan-Meier法、Cox比例ハザードモデルを用いた.
【結果】患者背景では、BMI群間で年齢、性別に有意差を認めた. 詳細には、Obese群はNormal群と比較して若年者の割合が多く、Overweight群では男性の割合が高かった. 短期成績では、Overweight群とObese群でNormal群と比較して手術時間と出血量が有意に多かった(いずれもp<0.001). 病変主座、術式、術後合併症発生率、在院日数は群間で有意差を認めなかった. 全患者のpStageは0(yCR)-I 39.4%、II 28.4%、III 32.1%であり、群間での分布に有意差は認めなかった。5年DFS/OSは全患者93.1/93.5%、Normal群93.1/93.4%、Obese群93.6/94.2%であり、Obese群とNormal群で長期予後に有意差はなかった. 多変量解析の結果、ObesityはDFS(HR 0.74, p=0.48)、OS(HR 0.83, p=0.72)の独立した予後因子ではなかった.
【手技の要点】①定型に拘らず、無理のない操作でバランスの良い進行. ② 把持はなるべく避け,鉗子のシャフトやジョー全体を用いたトラクション. ③間膜損傷や剥離可能層の誤認を防ぐため、過度なトラクションの回避.
【結論】肥満症例に対する腹腔鏡下大腸手術は、手術時間と出血量の増加が見られたものの、術後合併症、在院日数、長期予後は非肥満症例と遜色なく、安全に施行可能であった.