講演情報
[VWS2-7]肥満を伴う直腸癌患者に対するロボット支援直腸切除術の対策と短期・長期成績に関する検討
青柳 康子, 池田 晋太郎, 伊藤 望, 勝谷 俊介, 國本 真由, 後藤 佳名子, 中田 美佳, 西山 優, 三浦 竣助, 原田 紡, 鳴海 絢, 杉下 哲夫, 山本 雄大, 花岡 まりえ, 山内 慎一, 藤原 尚志, 賀川 弘康, 徳永 正則, 絹笠 祐介 (東京科学大学消化管外科学分野)
【背景】肥満症例における直腸切除術の難易度は高いとされているが、その手術成績や対策についての報告は少ない。
【目的】肥満を伴う直腸癌患者に対するロボット支援直腸切除術の短期・長期成績を検討し、肥満症例対策を手術動画として提示する。
【対象と方法】2018年4月から2024年12月までに当科でロボット支援直腸切除術を施行した原発性直腸癌cStage I-IIIの473例を対象として、肥満患者(BMI 25kg/m 2以上:O群150例)と非肥満患者(BMI 25kg/m 2未満:N群323例)に分けて短期成績を後方視的に比較検討した。また、2021年12月までに手術を施行した232例を対象に長期成績を比較検討した。
【結果】患者背景に関して、O群で有意に男性が多く(男性/女性 : 114/36 vs 198/125例, p<0.01)、年齢(p=0.09)、腹部手術歴(p=0.38)、腫瘍局在 (RS/Ra/Rb : 50/21/79 vs 103/76/144例, p=0.05)、術前治療(p=0.38)、cStage (p=0.82) に有意な差は認めなかった。手術時間はO群で有意に長く(中央値270.5 vs 236分, p<0.01)、出血量はO群で有意に多かった(10 vs 0ml, p<0.01)。両群間の術式に偏りはなく(高位前方切除術/低位前方切除術/括約筋間切除術/腹会陰式直腸切断術/ハルトマン手術 : 31/80/13/23/3 vs 70/184/19/35/15例, p=0.289)、他臓器合併切除(14 vs 33 例, p=0.87)、一時的人工肛門造設術(50 vs 87 例, p=0.16)、側方郭清(32 vs 68例, p=1)の有無に差はなかった。術式別の手術時間の比較検討において低位前方切除術のみがO群で有意に手術時間が長かった(280.5 vs 236.5分, p<0.01)。さらに低位前方切除術において、男性のみで手術時間に有意差を認めた (293 vs 239.5分, p<0.01)。開腹移行はN群で1例のみであった。合併症(CD grade II以上 : 20 vs 23.2%, p=0.48)、術後在院日数(7 vs 6日, p=0.067)に有意差はなく、長期成績に関して、3年全生存率(98.4 vs 97.9%, p=0.68)、3年無再発生存率(88 vs 82.2%, p=0.359)に有意差は認めなかった。
【結語】肥満を伴う直腸癌患者のロボット支援直腸切除術において、男性の低位前方切除術で特に難易度が上がると考えられたが、その他の短期・長期成績は概ね非肥満患者と同等であった。
【目的】肥満を伴う直腸癌患者に対するロボット支援直腸切除術の短期・長期成績を検討し、肥満症例対策を手術動画として提示する。
【対象と方法】2018年4月から2024年12月までに当科でロボット支援直腸切除術を施行した原発性直腸癌cStage I-IIIの473例を対象として、肥満患者(BMI 25kg/m 2以上:O群150例)と非肥満患者(BMI 25kg/m 2未満:N群323例)に分けて短期成績を後方視的に比較検討した。また、2021年12月までに手術を施行した232例を対象に長期成績を比較検討した。
【結果】患者背景に関して、O群で有意に男性が多く(男性/女性 : 114/36 vs 198/125例, p<0.01)、年齢(p=0.09)、腹部手術歴(p=0.38)、腫瘍局在 (RS/Ra/Rb : 50/21/79 vs 103/76/144例, p=0.05)、術前治療(p=0.38)、cStage (p=0.82) に有意な差は認めなかった。手術時間はO群で有意に長く(中央値270.5 vs 236分, p<0.01)、出血量はO群で有意に多かった(10 vs 0ml, p<0.01)。両群間の術式に偏りはなく(高位前方切除術/低位前方切除術/括約筋間切除術/腹会陰式直腸切断術/ハルトマン手術 : 31/80/13/23/3 vs 70/184/19/35/15例, p=0.289)、他臓器合併切除(14 vs 33 例, p=0.87)、一時的人工肛門造設術(50 vs 87 例, p=0.16)、側方郭清(32 vs 68例, p=1)の有無に差はなかった。術式別の手術時間の比較検討において低位前方切除術のみがO群で有意に手術時間が長かった(280.5 vs 236.5分, p<0.01)。さらに低位前方切除術において、男性のみで手術時間に有意差を認めた (293 vs 239.5分, p<0.01)。開腹移行はN群で1例のみであった。合併症(CD grade II以上 : 20 vs 23.2%, p=0.48)、術後在院日数(7 vs 6日, p=0.067)に有意差はなく、長期成績に関して、3年全生存率(98.4 vs 97.9%, p=0.68)、3年無再発生存率(88 vs 82.2%, p=0.359)に有意差は認めなかった。
【結語】肥満を伴う直腸癌患者のロボット支援直腸切除術において、男性の低位前方切除術で特に難易度が上がると考えられたが、その他の短期・長期成績は概ね非肥満患者と同等であった。