講演情報

[WS2-7]私の悩み、聞いてください~当院での術後合併症の検討と工夫~

竹田 春華, 岡島 正純, 川堀 勝史 (三渓会川堀病院)
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当院は1949年に創設された有床数39床の大腸肛門疾患専門病院である。JR広島駅から徒歩圏内で、毎週木曜日の午後には女性専用外来も設けており、年間約1000例の肛門疾患手術をおこなっている。今回、日々の診療のなかで苦慮した症例や、手術で経験した合併症について提示し検討を行い、その対策や工夫を示す。
痔核根治術を施行後に起こる合併症として肛門狭窄がある。術後狭窄で苦慮した症例を報告する。症例1:52歳女性。内痔核Ⅳの診断で痔核結紮根治術(LE)施行。切除個所は3箇所+周囲の皮垂の切除を行った。術後から疼痛もあり排便困難にて緩下剤使用した。次第に肛門縁の狭窄を認め排便困難となった。約2か月後狭窄改善のため2泊3日入院し、肛門縁の広がりをよくするため、全周性に肛門縁を切開した。その後術後経過良好であったが、疼痛軽減と同時に再狭窄あり。外来にて肛門ブジー施行するも軽快せず、約2か月後再入院し、肛門狭窄形成術(SSG)施行。その後の経過は良好で、再狭窄なく経過中である。
痔瘻術後に創の治癒遅延をおこし、不良肉芽となる症例がある。症例2:30歳女性。6時方向の低位筋間型痔瘻(以下ⅡLS)に対し痔瘻根治術(Lay open)施行。外来通院にて創治癒遅延あり。創をデブリードマンしながら不良肉芽を取り除き、ボスミン綿にて止血処置を繰り返した。患者の疼痛や不快感はなく、出血の自覚もなかった。術後から5か月後、創は完全に治癒したため完治とした。
直腸脱の術後の再発や排便コントロールに苦慮することがある。症例3:101歳女性:直腸脱再発の診断でGANT-MIWA+Thierch施行。術後から便秘悪化。内服薬にて経過を見たが、術後1か月後、直腸脱が再々発。GANT-MIWA施行後の直腸が肛門縁で嵌頓し疼痛強く、外来にて還納行うも繰り返すため、ポリエステルメッシュを局所麻酔下で除去した。脱出はあるが、疼痛軽減し、自力で還納可能であるため外来follow中である。肛門疾患の手術は患者のニーズに合わせた様々な手術方法があり、術後合併症や対処法も多様である。当院での工夫や対処療法について検討を行う。