講演情報
[WS6-7]Hinchey Stage Ib/II結腸憩室炎に対する内視鏡を用いたドレナージ治療の有用性
小杉 千弘, 清水 宏明, 首藤 潔彦, 森 幹人, 碓井 彰大 (帝京大学ちば総合医療センター外科)
大腸憩室症ガイドラインでは3cm以内の膿瘍を有する場合には抗菌薬投与および腸管安静、また5cmを超える膿瘍を有する場合にはドレナージ治療が推奨されている。ドレナージ方法は超音波もしくはCTガイド下での穿刺が一般的であるが、穿刺ルート確保困難な症例や、術後の瘻孔形成などの問題点は残る。我々は膿瘍形成憩室炎に対する内視鏡によるドレナージ法を開発し、その成績を報告する。【対象】腹部CTでmodified Hinchey stage Ib-IIと診断された18例。結腸憩室炎の診断後に入院し、絶飲食および抗菌薬投与による治療を施行するも症状軽減しない症例を対象とした。free airの存在やstage III以上の重篤な症例は除外とした。男性13例、女性5例。年齢中央値は43歳。憩室炎部位は盲腸~上行結腸:13例、下行結腸:1例、S状結腸4例。Hinchey stageはIbが13例、IIが5例で、膿瘍腔径中央値は40.0mm。ドレナージ不能時には手術治療となる可能性をも含めたinformed consent後に内視鏡的ドレナージ術を施行。【内視鏡的ドレナージ法】内視鏡前処置はグリセリン浣腸のみ。X線透視下に内視鏡を挿入し、表面に白苔を伴う憩室を確認。洗浄法:原因病巣と判断し鉗子孔より生食で憩室を洗浄し白苔を除去する。穿刺法:洗浄法で白苔除去不能な際に洗浄チューブで原因憩室を穿刺。洗浄チューブを抜去後に、膿汁が自然に腸管内にドレナージされることを確認後に内視鏡を抜去。【結果】洗浄法10例、穿刺法8例。穿刺法の2例(11.1%)が穿刺不能だった。ドレナージ成功16例(88.9%)では術直後より腹痛の軽減を認め、WBCおよび発熱は有意に減少した(p<0.01)。合併症は認めなかった。経口摂取開始は2日(1-5日)、術後入院期間は6日(4-12日)。術後3か月後にCTで再発および膿瘍腔残存を評価し、再発例や膿瘍腔残存例は認めず。【結語】膿瘍形成結腸憩室炎に対する内視鏡的膿瘍ドレナージは、外科的治療やCTガイドドレナージを必要とする症例に対して、より低侵襲なドレーンレスの治療としての可能性を持つ。