講演情報
[WS6-8]憩室によるS状結腸膀胱瘻に対する当科の手術の検討
金子 奉暁, 的場 周一郎, 牛込 充則, 鏡 哲, 鈴木 孝之, 三浦 康之, Yoshida Kimihiko, 甲田 貴丸, 小梛 地洋, 渡邊 健太郎, 船橋 公彦 (東邦大学医療センター大森病院消化器外科)
背景:憩室によるS状結腸膀胱瘻に対する術式の選択基準は明確になっていない。
術式選択に有効な因子がないか当科の現状を検討する。
対象と方法:2009年12月から2025年5月までに腸管切除を伴う手術を施行された憩室が原因のS状結腸膀胱瘻23例を対象とした。
方法: 手術アプローチ別に開腹群(Open群)、腹腔鏡下手術群(Lap群)、開腹移行群にわけて、後方視的に患者背景(年齢、性別、低アルブミン血症、Performance Status、肥満)、手術治療成績(手術時間、出血量、Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症の有無、入院期間)を検討した。次に2009年から2019年の前期と2020年から2025年の後期に分けてアプローチ方法、手術治療成績を比較検討した。
結果:術式別内訳は、Open群35%(8/23)、Lap群52%(12/23)、開腹移行群13%(3/23)であった。Open群(開腹移行群を含む)とLap群の検討では、手術時間に有意差はなく(P=0.854)(Open/Lap:中央値323分/ 351分)、合併症発症率も、Open群は27.3%(3/11)(縫合不全、腸閉塞、遺残膿瘍)に対し、Lap群は8.3%(1/12)(腸炎)であり、有意差がなかった。しかし、出血量はLap群で有意に少なく(P=0.001)(Open/Lap:中央値315ml/ 15ml)、入院期間も短かった(P=0.005)(Open/Lap:中央値16日/ 12.5日)。次に、前期と後期の比較では、Lap(開腹移行群を含む)の割合が前期では53%(8/15)に対し 、後期では87.5%(7/8)と増加していた。患者背景、手術治療成績は、前期と後期の間に有意差は認めなかった。しかし開腹移行例については、前期にのみ3例認めた。根治術前の人工肛門造設は、全症例の22 %(5/23)に施行されており、5例はいずれもLap群(開腹移行2例を含む)であり、前期が2例、後期が3例であった。
考察:1.腹腔鏡手術は開腹手術よりも低侵襲である可能性がある。
2. 腹腔鏡手術の割合は近年増加傾向にあり、適応が拡大していることが示唆される。
結語:症例の集積を行い更なる検討が必要である。
術式選択に有効な因子がないか当科の現状を検討する。
対象と方法:2009年12月から2025年5月までに腸管切除を伴う手術を施行された憩室が原因のS状結腸膀胱瘻23例を対象とした。
方法: 手術アプローチ別に開腹群(Open群)、腹腔鏡下手術群(Lap群)、開腹移行群にわけて、後方視的に患者背景(年齢、性別、低アルブミン血症、Performance Status、肥満)、手術治療成績(手術時間、出血量、Clavien-Dindo分類Grade2以上の合併症の有無、入院期間)を検討した。次に2009年から2019年の前期と2020年から2025年の後期に分けてアプローチ方法、手術治療成績を比較検討した。
結果:術式別内訳は、Open群35%(8/23)、Lap群52%(12/23)、開腹移行群13%(3/23)であった。Open群(開腹移行群を含む)とLap群の検討では、手術時間に有意差はなく(P=0.854)(Open/Lap:中央値323分/ 351分)、合併症発症率も、Open群は27.3%(3/11)(縫合不全、腸閉塞、遺残膿瘍)に対し、Lap群は8.3%(1/12)(腸炎)であり、有意差がなかった。しかし、出血量はLap群で有意に少なく(P=0.001)(Open/Lap:中央値315ml/ 15ml)、入院期間も短かった(P=0.005)(Open/Lap:中央値16日/ 12.5日)。次に、前期と後期の比較では、Lap(開腹移行群を含む)の割合が前期では53%(8/15)に対し 、後期では87.5%(7/8)と増加していた。患者背景、手術治療成績は、前期と後期の間に有意差は認めなかった。しかし開腹移行例については、前期にのみ3例認めた。根治術前の人工肛門造設は、全症例の22 %(5/23)に施行されており、5例はいずれもLap群(開腹移行2例を含む)であり、前期が2例、後期が3例であった。
考察:1.腹腔鏡手術は開腹手術よりも低侵襲である可能性がある。
2. 腹腔鏡手術の割合は近年増加傾向にあり、適応が拡大していることが示唆される。
結語:症例の集積を行い更なる検討が必要である。