講演情報
[P3-03]電子タバコ用の高濃度ニコチン溶液摂取により心停止に至った一例
*宮崎 ゆか1、大瀧 純2、菅野 さな枝2、坪内 希親1、岩井 健司1、高須 惟人1、笹野 寛1、服部 友紀1 (1. 名古屋市立大学病院 救急科、2. 名古屋市立大学大学院医学研究科 法医学分野)
電子タバコのニコチン溶液による中毒が世界中で増加している。今回致死量の約200倍のニコチン溶液を摂取し心停止に至った急性中毒を経験した。症例:36歳の女性で、プロピレングリコール100 m Lにニコチン 10gが溶解された電子タバコ溶液を意図的に全量摂取し心停止で当院に搬送された。蘇生処置で摂取25分後に心拍再開し除細動器の使用はなかった。人工呼吸器下で胃洗浄、活性炭投与、体温管理を行った。昇圧剤は心拍再開から10 時間後には不要となった。頭部 CTで脳浮腫が認められ、内視鏡検査で広範囲の食道胃粘膜びらんが認められた。第4病日にびらんは改善したが、呼吸筋麻痺を疑う呼吸抑制が進行し、広範囲の脳虚血性変化が認められた。第8病日には脳死となり得る状態に至った。ニコチン血漿濃度は搬送時で6569.1μg⁄L、摂取30時間後で85.3μg⁄Lであった。本症例は高用量のニコチン溶液を摂取後、数分以内に心停止に至り不可逆的な脳障害が生じた。ニコチンの代謝は速く、摂取30時間後には血漿ニコチン濃度は致死範囲以下となったが、呼吸筋麻痺や脳浮腫の進行は低酸素脳症に加えてニコチンの直接毒性によるものと考えられた。
