講演情報

[O1-06]胸骨圧迫に伴う肝損傷が蘇生困難の一因になったと疑われた一例

*高野 彩音1、中村 元保1,2、吉田 絵理子1、佐藤 純基3、井形 聡3、野本 朋宏4、四方田 薫5、大平 泰之5、和田 浄史1 (1. 川崎医療生活協同組合 川崎協同病院 総合診療科、2. 昭和大学 医学部 救急・災害医学講座、3. 川崎医療生活協同組合 川崎協同病院 整形外科、4. 川崎医療生活協同組合 川崎協同病院 消化器内科、5. 昭和大学 医学部 臨床病理診断学講座)
【背景】胸骨圧迫に伴う肝損傷の頻度は0.6%〜3.0%と稀な合併症として報告されている。【症例】70代女性。身長149cm、体重36.5kg(B M I16.44kg/m2)。リハビリテーション目的の入院中に上腹部痛を認め、その後に心停止に至り、50分間心肺蘇生を行ったものの蘇生はかなわず死亡確認となった。死亡時画像診断では蘇生時には確認できなかった腹水貯留と大動脈の著明な虚脱を認めた。病理解剖では腹腔内に900m Lの新鮮血液の貯留を認め、肝臓が胸骨圧迫位置と一致し、左葉が鈍的に損傷されていた。蘇生困難の原因に、肝損傷による腹腔内出血が一因になったものと考えられた。【考察】過去の報告から胸骨圧迫による肝損傷の多くは過度の圧迫や、手の位置が剣状突起を圧迫していることがあげられる。胸骨圧迫中の心窩部への手の逸脱は、本症例のような高齢女性や低身長の患者で起きやすいと報告されており、本症例は胸骨圧迫の位置異常をきたしやすい状況であったと考えられた。【結語】蘇生困難に至るような胸骨圧迫による肝損傷を防ぐためにも、質の高い心肺蘇生術を行えるようB L S講習会などを通して指導を行う必要があると考えられた。