講演情報

[O10-05]救出時に認識されなかった重症急性トルエン中毒に対し出動した川崎DMATの1例

*渡邊 顕弘1,2、井上 潤一1,2、長谷川 和洋1,2、榊原 瑛莉1,2、柴田 あみ1,2、吉野 雄大1,2、大嶽 康介1,2、桒本 健太郎1,2、田上 隆1,2、横堀 將司2 (1. 日本医科大学武蔵小杉病院 救命救急センター、2. 日本医科大学 救急医学講座)
【はじめに】トルエンの毒性は慢性・急性ともに知られているが、現在でも年間に数人は死亡報告がある致死性物質である認識は薄いと思われる。【症例】54歳の男性。前日21時から深さ6mのマンホール内水道管にて同僚とさび止めの塗装を行っていた。翌朝に帰社していないことが判明し救急要請。救助隊到着時CO濃度が測定不能の高値と計測されたため当院に対し川崎DMATが要請され出動した。CO中毒として現場初期対応を行うも、途上よりその独特の臭気からトルエン中毒が強く疑われた。病着後の検査でもCO中毒を疑うものはなく、トキシドロームからトルエン中毒が疑われ、後日尿から致死量にあたる9.41g/Lの馬尿酸が検出された。【考察】当初CO中毒の認識でいた傷病者がトルエン中毒であった症例を経験した。川崎DMATはマンホール内の立ち入りは行わなかったが、認識の違いで高濃度のトルエン内での救出作業を行った場合に2次的な多数傷病者が発生した可能性も考えられた。【結語】ドクターカーや地域DMATがCBERN災害を認識できていない状態で出動した際、安全確保の点からどのように対処すべきか予め消防と計画しておくことが必要である。