講演情報

[O20-03]有機溶剤中毒による複数傷病事案の病院前診療を経験して

*榊原 真子1,2、宮村 保吉1、古川 祐太朗3、渡邉 茂也1、椎野 明日実1、嶋崎 剛志1、荻原 淳1、工藤 俊介1、岡田 邦彦1、田中 啓司1,2 (1. JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター 救命救急センター、2. 昭和大学 医学部 救急・災害医学講座、3. 佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター)
【背景】中毒事案の病院前診療では原因物質が不明なことがあり,二次被害の危険がある.有機溶剤中毒による複数傷病者に対して,病院前診療を行った事案を経験し報告する.【事案】建物解体現場で4m転落,傷病者2名の情報で当院ドクターヘリが出動した.出動途中にガス吸入の可能性の追加情報があった.現場では先着救急隊が活動中で,屋外階段地下に傷病者が倒れていたため区域設定により接触不可だった.指揮隊到着後、活動方針を協議した.剥離剤の使用作業中であったが詳細不明だった.N95マスク・不織布ガウン・ゴーグル着用の上,救助された傷病者の診察を行った.原因物質が不明であるため,常時換気が可能なドクターカー方式で陸路搬送とした.搬送中に塗料剥離剤(ジクロロメタン・メタノール含有)を使用の情報を得た.病院収容までの間,病院後方支援医師と情報共有を行うことで,院内の二次被害予防にも努めた.ジクロロメタン中毒・メタノール中毒のため入院し,中毒性視神経障害や高次脳機能障害なく第9病日に退院した.【結語】原因物質が不明な中毒事案では二次被害を考慮し,消防機関・収容病院と連携した活動が重要である.