講演情報
[O7-02]頸部刺創による下咽頭損傷により緊急外科的気道確保を要した一例
*松井 拓弥1、天野 浩司1、森田 正則1、中田 康城1、横田 順一朗1 (1. 堺市立総合医療センター)
症例は57歳男性。刃物で頸部を自ら刺した状態でいるところを妻が発見、救急搬送となった。来院時のバイタルサインはGCS E4V5M6、呼吸数18/分、SpO2 98%(リザーバーマスク10L換気下)、体温36.4℃、脈拍数105/分、血圧134/97mmHgで右頸部下顎付近の刺創より持続的な出血を認めた。創部の確認と止血目的に鎮静し挿管を試みるも喉頭展開時に多量の血液が口腔・鼻腔内から溢出し挿管困難となった。換気困難かつ急速な酸素化低下により、緊急で輪状甲状靱帯を切開し外科的に気道を確保した。刺創路は顎下腺を貫通し下咽頭に達し、損傷した顎下腺の奥で咽頭粘膜が刺創路側に翻転していた。この損傷した顎下腺近くに小さな動脈性の出血を認め、ほか複数の静脈性出血を認めた。喉頭展開で下咽頭粘膜損傷部の自然圧迫が解除され、咽頭側に突然の出血を来したと考えられた。なお気管損傷は認めず、術後経過も良好で術後28日目に自宅退院した。咽頭に達する頸部刺創では、喉頭展開の操作で咽頭側への出血による気道緊急が生じうる事を考慮し、事前に外科的気道確保の準備を行った上で気管挿管を施行する必要があると考えられた一例であった。
