講演情報

[O8-02]診断に苦慮した特発性腎梗塞の一例

*田中 真之1、宮内 崇1 (1. 国立病院機構 岩国医療センター)
症例は46歳男性で、下腹部痛・腰痛が半日持続するため当院に受診した。35歳時に心筋梗塞の既往があるが、来院2か月前よりDAPTを中止していた。
心電図は洞調律でST変化は認めなかった。血液検査でCKとトロポニンが上昇しなかったが、LDHは上昇していた。腎機能の低下はなく、尿検査では潜血、亜硝酸塩は陰性であった。単純CTでは炎症性消化管疾患は否定的であったため、血管・血流の精査のために造影CTを追加したところ、両側の腎梗塞を認めた。入院後、心エコー、経食道エコーを実施したが左房室内血栓、弁膜症の所見を認めず、特発性の腎梗塞と判断した。
急性腹症の原因は心血管疾患、消化管疾患、泌尿器疾患などがある。本症例は血液、尿検査で著名な異常を認めず、単純CTでも腹痛の原因は明らかにならなかったが、造影CTで腎梗塞を認めた。腎梗塞は比較的若年者に発症し、血液検査ではLDH単独の上昇が特徴的である。心原生塞栓症が原因であることが多いが、本症例のように原因不明の特発性の症例も存在する。急性腹症の患者には、他の項目と比べてLDHの上昇が著名な場合は、腎梗塞を念頭に診療を行うべきである。