講演情報
[PD10-01]病院前救護での新生児蘇生プロトコルの現状と課題~圧迫換気比は3:1か15:2か
*賀来 典之1,2、新田 雅彦1、石原 唯史1、太田 邦雄1、境野 高資1、野澤 正寛1、清水 直樹1 (1. 日本小児救急医学会 心肺蘇生委員会、2. 九州大学大学院医学研究院救急医学講座)
新生児とは、生後0日から28日未満と定義される。これには、胎児循環から新生児循環に移行する「分娩直後の児」と、呼吸循環が確立された新生児が含まれる。「分娩直後の児」では、いわゆる新生児仮死(心拍はあるが呼吸が確立していない状態や心停止)に対する緊急処置が必要となる。新生児蘇生法(NCPR)のアルゴリズムは、分娩施設内における周産期従事者に用いられ、圧迫換気比3:1で実施される。
救急蘇生法の指針2020医療従事者用によると、病院前救護等における新生児期の心停止に対しては小児蘇生法(PLS)の適用を原則とするが、NCPRの適応範囲にかかる独自の決定を妨げるものではないとされ、MC協議会の方針に従うこととなる。現状の病院前救護体制では、新生児心停止に対するCPRの圧迫換気比は 15:2で実施される地域が多いが、一部地域ではNCPRでの 3:1が採用されている。
2020年から日本周産期・新生児医学会は、新生児蘇生法普及事業の一環として救急救命士・救急隊員・消防史員等を対象として、「病院前新生児蘇生法講習会(Pコース)」を開始した。以降、NCPRが救命救急士等に普及することにより、病院前救護における新生児仮死等への対応も変化・発展しつつある。しかし現場においては、PLSとNCPRのアルゴリズムが混在することによる混乱もみられている。
この背景には、「分娩直後の児」を対象とするNCPRが新生児期全般に外挿されてしまっている可能性や、NCPRについても成人同様に胸骨圧迫を軸として議論され、病態に即した観点が乏しいことなどが推測される。特に「分娩直後の児」に対しては、BVMによる質の高い人工呼吸と保温が最優先事項であり、圧迫換気比が3:1か15:2のどちらが適切かは明確なエビデンスがないのが現状である。本発表では、病院前救護での新生児期の対応における問題点を共有し、今後の展望について議論したい。
救急蘇生法の指針2020医療従事者用によると、病院前救護等における新生児期の心停止に対しては小児蘇生法(PLS)の適用を原則とするが、NCPRの適応範囲にかかる独自の決定を妨げるものではないとされ、MC協議会の方針に従うこととなる。現状の病院前救護体制では、新生児心停止に対するCPRの圧迫換気比は 15:2で実施される地域が多いが、一部地域ではNCPRでの 3:1が採用されている。
2020年から日本周産期・新生児医学会は、新生児蘇生法普及事業の一環として救急救命士・救急隊員・消防史員等を対象として、「病院前新生児蘇生法講習会(Pコース)」を開始した。以降、NCPRが救命救急士等に普及することにより、病院前救護における新生児仮死等への対応も変化・発展しつつある。しかし現場においては、PLSとNCPRのアルゴリズムが混在することによる混乱もみられている。
この背景には、「分娩直後の児」を対象とするNCPRが新生児期全般に外挿されてしまっている可能性や、NCPRについても成人同様に胸骨圧迫を軸として議論され、病態に即した観点が乏しいことなどが推測される。特に「分娩直後の児」に対しては、BVMによる質の高い人工呼吸と保温が最優先事項であり、圧迫換気比が3:1か15:2のどちらが適切かは明確なエビデンスがないのが現状である。本発表では、病院前救護での新生児期の対応における問題点を共有し、今後の展望について議論したい。
