講演情報

[PD15-01]外傷全身CT撮影における被ばく線量の国内実態調査から考える標準化に向けた課題

*宮安 孝行1 (1. 神戸赤十字病院)
2009年にHuber-Angner,Sらは外傷全身CTが外傷患者の死亡率を下げたと報告した.日本でも2010年に「外傷全身CT加算」が新設された.この外傷全身CT加算の施設基準はいくつかの項目があるが,留意事項には「全身打撲症例における初期診断のために行う,頭蓋底から少なくとも骨盤骨までの連続したCT撮影をいう」のみが記載されている.2012 年に発刊された『外傷初期診療ガイドラインJATECTM(改訂第4 版)』で外傷全身CT の撮影方法の一例が記載されたが,同年に藤村らは「日本救急撮影技師認定機構による外傷患者の体幹部CT 撮影条件アンケート調査」の中で,体幹部の撮影方法は各施設で大きく異なっていると報告した.
演者らは2017年と2022年に「外傷全身CT撮影における被ばく線量(CTDIvol とDLP)の国内実態調査」を行ったが,その中で外傷全身CTの撮影方法は大きく分けて6種類に分類されることが分かった.また撮影方法により被ばく線量も大きく異なることが分かった.
今回,撮影方法の標準化に向けた課題として特に議論したい項目を以下に挙げる.
・頸椎の撮影は単独で行うか?頭部もしくは体幹部に含めて撮影するか?
・体幹部の造影検査の前に単純撮影を行うか?造影のみで評価するか?
・バックボードはそのまま撮影するか?外して撮影するか?
・体幹部撮影の際に上肢は挙上するか?下垂のまま撮影するか?
海外ではThe European Society of Emergency Radiology (ESER)が2020年に外傷全身CT撮影のガイドラインを発表している.その中ではバイタルサインに応じて撮影方法を使い分ける事を推奨している.
今回のパネルディスカッションは撮影方法の議論ではあるが,今後救急医,放射線科医と共に日本国内でもガイドライン策定に向けた議論が進むことを期待する.