講演情報
[PD15-05]外傷全身CT撮影における上肢挙上が時間,画質,被ばく線量に与える影響について
*片山 拓人1 (1. 東海大学医学部付属病院)
救急撮影の現場においては,重症度の高い傷病者を救うには診療の質の向上とともに時間軸に焦点を当てた医療体制の工夫が重要である.多発外傷患者の早期全身評価において,外傷全身CT撮影は広く普及しているが,2019年に報告された『外傷全身CT撮影における被ばく線量(CTDIvolとDLP)の国内実態調査』 において報告があったように,外傷全身CT撮影は施設による撮影方法やプロトコルがさまざまである.また,撮影方法は,『X線CT撮影ガイドライン〜GALACTIC(改訂3版)』にも記載されており,上肢のポジショニングについては「アーチファクトの対策として腹部上での固定もしくは片側挙上位とする」と記載されている.当院では患者の状態に合わせて,上肢を両上肢挙上,片上肢挙上,両上肢下垂の3パターンで外傷全身CTを撮影している.上肢が撮影範囲に含まれることで,ノイズレベルの均一化を行うために線量が必要となるため,両上肢挙上,片上肢挙上,両上肢下垂の順にDLPの値は大きくなり,両上肢挙上と両上肢下垂のDLPは中央値で約25%差が生じる.また,両上肢下垂では上腕から発生するアーチファクトで画質も低下してしまう.しかし,上肢の挙上をさせることでポジショニングに時間がかかってしまうという文献もあり,当院でもそういった事例を経験することがある.臨床において,外傷での重症症例では一刻も早く治療に取りかかる必要があるため,時間と画質・被ばくを天秤にかけて選択することも重要である.ESERから2020年に発表された外傷全身CT撮影のガイドラインでは,バイタルサインに応じて撮影方法を使い分ける事が推奨していることからも,画質・被ばく優先プロトコルと時間優先プロトコルの作成が重要と考え当院でも現在検討している.今後はER医師との連携を図り,撮影オーダー時にプロトコルを選択できるような環境整備も行っていきたい.
