講演情報
[PD5-02]救助医療連携によるクラッシュ症候群対応:令和6年能登半島地震における救出事例から
*稲葉 基高1 (1. ピースウィンズ・ジャパン/岡山大学救命救急災害医学講座)
【はじめに】令和6年能登半島地震は、多大な人的・物的被害をもたらした。発災当日から現地入りした我々は石川県珠洲市において、発災5日目に倒壊家屋の下で発見され、救助医療連携によって救命しえた症例を経験した。症例報告とともに災害現場医療における救助医療連携の重要性について考察する。【症例】救出された93歳の女性は、発災約120時間後に救助チームによって発見された。初期評価で彼女は意識障害(GCS: E3V2M6)、低体温、及び潜在的なクラッシュ症候群が疑われた。保健医療福祉調整本部に医療班の現場派遣要請があり、NGOピースウィンズの医師2名看護師2名が現場派遣された。ホットゾーンへは医師1名看護師1名が約15分投入され2ルートの静脈ライン確保の後、リンゲル液2500ml、炭酸水素ナトリウム、カルシウム製剤の投与が除圧前に実施された。並行して湯を入れたビニールバッグによる加温が行われた。救助活動は、その後の4時間で完了し、患者は地域の病院へ搬送された。搬送後の検査ではクレアチニン1.74 mg/dL、CPK13,450 U/L、カリウム5.5 mmol/Lが報告され、クラッシュ症候群と診断され、翌日金沢の病院へ搬送となった。【考察】本症例は、災害時の救助医療連携の有効性を示すものである。特に早期の輸液療法は、クラッシュ症候群に伴う重篤な合併症の発症を防ぐために重要である。今回救助チームによるクラッシュ症候群の認知から医療班要請が行われ、国際緊急援助隊等で訓練経験のある医療班が、現場で救助と連携しながら介入できたことが救命の一助となった。本事例を検証し、今後の災害でも救助からの要請によって現場でスムーズに医療介入が可能となるシステムの構築が重要である。
