講演情報
[PD6-04]警察における大量出血傷病者への対応に関する現状と課題
*加古 嘉信1 (1. 上武大学 ビジネス情報学部 スポーツ健康マネジメント学科)
【緒言】警察官は、テロ等の重大事案発生時のみならず、日々発生する事件・事故への初動対応等を通じて、大量の出血を伴う傷病者に接する機会が少なくない。また、その職務の特殊性から、警察官自らが大量出血を伴う致命傷を受けるリスクを抱えている。しかし今日に至るまで、この点に対する組織的な備えが十分に整っているとは言いがたい。発表者は過去に、現場警察官として、また、警察庁の危機管理担当部局の担当者として、上述のような事態に対する人命保護・殉職事案防止対策の在り方について検討を重ねてきた。本報告では、以上を踏まえた私見を述べる。【前提と課題】大量出血を伴う負傷者等に対しては、受傷現場から医療機関に至る全ての過程で迅速・的確な対応が不可欠である。その実現には、警察官個々に対する教育訓練や装備資器材の配備はもとより、可能な限り早期に医療が介入する仕組みの構築が必要である。これまでに、警察庁および都道府県警察において、救急医療の専門家等と連携した各種取り組みが進められてきたが、その取り組み推進の「キーパーソン」が警察内部の人事異動により不在となることで、これら取り組みが退行する事例が散見された。【結語】生命の危機に瀕した国民の命を守ることは警察にとって最大の責務であり、またそうした崇高な責務を遂行する警察官の命を守る体制の構築は、各般の警察政策において最重要視されるべき基盤政策である。その「キーパーソン」を継続的に輩出する仕組みづくりが必要である。大量出血の脅威を正しく理解する救急救命士の免許を持つ警察官が、自ら「キーパーソン」となって当該政策の立案・実行を行うべく努力し続けることが期待される。また、その警察官救命士を警察組織として有効に活用するための教育体制や運用の仕組みづくりが必要であり、これらなくして持続的発展を遂げることは無いと強調したい。
