講演情報

[PD6-05]本邦における事態対処医療の取り組みに関する提案

*若井 聡智1、矢嶋 祐一1、小谷 聡司1 (1. 独立行政法人国立病院機構  本部DMAT事務局)
【緒言】本邦でも昨今、銃器を使用した立てこもり事件や要人を標的とした事態対処事案が散見されるようになり、医療と法執行機関との連携の必要性が高まってきたと考えられる。そこで、事件現場近くに安全域を確保し、当該域で医療者が直近の救命医療機関に引き継ぐまでに必要な救命処置、いわゆる「事態対処医療」を実施することで、傷病者の救命につなげるように、関係機関が連携した体制構築が全国で実現できることが必要である。【現時点の成果】関係機関が連携するための体制構築における課題の整理や実現に向けた対応策について関係省庁担当者等に聞き取り調査及び協議を行ったところ、関係機関連携モデル作成及び関係機関での認識共有の必要性が明確化した。このことから、「事態対処事案関係機関連携モデル(仮称)」(案)を作成した。事態対処医療の対象は、「立てこもり事案」「要人警護事案」とした。このモデル案を基に、事態対処現場で関係機関の連携が可能になれば、鋭的損傷が大半を占める事案での救命に大きく貢献できると考える。また、現場の医療従事者に求められる能力としては、患者に対するTreatmentが最も大きいが、同時に警察を中心とした関係機関との連携、医療機関との連絡などの調整機能を核とする、いわゆるCommand & Controlの役割も重要となる。【今後の展望】警察、海上保安庁、消防、医療機関で協議し、連携モデル案の確定及び実効性を検証することが必要である。さらに、医療者に対する事態対処医療の啓発や教育、また災害医療に準じた体制構築を含む事態対処医療の全国標準化が実現されれば、武力攻撃事態等に対する国民保護における医療支援においても円滑な連携が構築されると期待できる。そのため、より多くの医療者が事態対処医療に精通することは、国民保護という観点からも極めて重要である。