講演情報

[PD7-05]地域医療における緊急度の位置付け

*池上 徹則1 (1. 倉敷中央病院救命救急センター・救急科)
高齢化社会を背景に、救急搬送困難例の増加と特定の医療機関への患者の集中が問題となっている。このような状況下で、「緊急度」という尺度を地域社会全体で共有することで、「急ぐべきは急ぎ、待つべきは待つ」という行動規範を共有し、限られた地域の医療リソースを効果的に活用することが期待される。「社会全体で共有する緊急度判定体系のあり方検討会」で提示された、家庭での自己判断プロトコルから始まる一連の緊急度判定において、居宅での緊急度判断をサポートする「#7119」は、特に地方では導入が遅れている。また、既に導入済みの地域でも、住民に認知され効果が実感されるまでには時間がかかることが明らかになっている。一方で、病院前や病院内での緊急度判定に関しては進展が見られる。当地でも、病院前では、総務省消防庁の緊急度判定Ver3に則ってトリアージを行い、ICTを用いて医療機関との連携を強化している。また、診療報酬との連動も相まって、JTAS等のシステムの普及も著しい。しかし、本来、緊急度の判断基準は地域ごとの医療リソース、人の移動、感染症の流行状況などに応じて変更することが望ましい。ノルウェーでは、地域の実情に合わせて緊急度判定ツールをカスタマイズし、カナダでも、地域ごとの医療ニーズに応じてCTASの基準を調整する取り組みが行われている。また、地域包括ケアシステムの枠組みと連動して、多職種が連携して緊急度判定を行うことで、地域の医療・介護・福祉のリソースを効果的に活用できる可能性がある。一部地域では、医療者の常駐が困難な高齢者施設において、急変時に救急医の助言を得ながら緊急度を判断し、医療機関へ適切な搬送を行う取り組みが始まっている。人口47万人の当地の実情を踏まえ、地域医療における緊急度判定の位置づけを考察する。