講演情報

[PD9-基調講演]~市民によるAED使用解禁から20年~
これまでの成果と今後の展望

*石見 拓1 (1. 京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻予防医療学分野)
2004年7月にわが国で、市民によるAED(自動体外式除細動器)の使用が解禁されて20年の節目の年を迎えた。日本では毎年8万人を超える病院外心原性心停止が発生しているが、心停止現場に偶然居合わせた市民が胸骨圧迫を行うことで救命率は約2倍、AEDを使って電気ショックを行うことで救命率がさらに2倍向上することが示されるなど、心停止からの救命、社会復帰のために、早期の119番通報、胸骨圧迫に加え、AEDによる早期電気ショックがカギを握っていることは多くのエビデンスが証明し、社会に広く認識されるようになってきた。実際、わが国には医療機関と消防機関以外に約67万台のAEDが設置され、これまでに累計8000人の命が救われてきた。
 しかし、これで十分とは言えない。小学校から始まる学校における救命教育のさらなる普及、それを実現するためのコンテンツ提供や教員への支援、学校での心臓突然死ゼロ、スポーツ中の心臓突然死ゼロを実現するために取り組むべきEAP(Emergency Action Plan)の普及、自宅で発生する心停止への対応も視野にいれた地域での戦略的なAEDの配置と運用、ホームAEDの戦略的な展開、デジタル技術を活用した心停止現場へのAEDや救助者の招集システムの導入等、AEDを活用し、より多くの命を救うためにまだまだ出来ることがある。
 本セッションでは、わが国におけるAEDの市民解禁から20年の成果を振り返るとともに、次の20年に向けた展望と課題について議論したい。