講演情報
[SY1-03]赤十字と紛争地医療(戦傷外科)
*白子 隆志1 (1. 下伊那赤十字病院)
近年、主権国家への侵略戦争が起こり、兵士のみならず一般市民の尊い生命が失われている。長年平和を享受してきた我が国も近い将来当事国になる可能性がある。赤十字国際委員会(ICRC)は1864年に創設され、ジュネーブ条約・国際人道法とともに国際的な紛争地での被災者の支援にあたってきた。また、日本赤十字社を含む世界191の国と地域に広がる赤十字・赤新月社のネットワークを生かして、世界の紛争・自然災害にも対応している。演者は2002年にスーダン、2004年にアフガニスタンの戦傷外科病院でICRC外科医として派遣された。その後、2005年にパキスタン北部地震国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)Field hospital運営、2010年と2011年にウガンダ北部病院外科支援、2018年にバングラデシュ・難民キャンプIFRC Field hospital支援、南スーダンICRC外科病院支援などに外科医として参加してきた。日本国内で紛争地の医療を経験することは困難であり、日本赤十字社として国内でのOff the job trainingや紛争地に近い国外でのOn the job trainingを行ってきた。前者として、紛争地・発展途上国のField Hospitalでの戦傷外科を含む外傷診療を想定した「災害外傷セミナー」を医師・看護師などの国際救援派遣希望者に対し、2007年から名古屋第二赤十字病院で開催してきた。後者として、2010年から7年間ウガンダ北部の病院外科支援事業を通して医師、看護師などを派遣した。本事業は、医療資源が乏しい中で、熱帯地域特有の疾患、環境を本邦の医師・看護師たちが経験できたとともに、現地の若い医師・看護師の育成にも貢献できたと考えている。演者の紛争地での戦傷外科治療を含む実際の症例や生活環境を提示し、紛争地医療の教育の課題について討論したい。
