講演情報
[SY15-06]南極昭和基地での救急医療体制
*小田 有哉1 (1. 国立極地研究所南極観測センター第65次南極地域観測隊)
昭和基地は日本から14000km離れた南極東オングル島に1957年第1次南極地域観測隊員にて設営された。夏期間に年1回のみ砕氷艦しらせにて必要物資が輸送されるが、冬期間には基地周辺は氷に閉ざされ接岸が困難な場所である。冬期間は医療隊員2人で約30人の越冬隊員の健康管理を行っている。基地内の医療設備は検体検査装置、手術室、X線透視システム、歯科診療台があり、遠隔医療相談ホットラインが開設されており、24時間相談可能なシステムがある。日本の南極観測史において、死亡者は3名いる。1名は遭難による低体温症、1名はクラックからの転落による外傷死、1名は急性心筋梗塞である。また、過去には10件の文明圏への緊急搬出を行っており、内2件は航空機による緊急搬出を行っている。ただし搬出までの調整には約1週間の時間がかかっており、南極という文明圏から隔離された場所においては出発前の事前スクリーニング、疾病外傷予防に努めることが最も大切なことである。
