講演情報

[SY17-06]さまざまな治療を要する重症病態における積極的な栄養療法

*巽 博臣1、数馬 聡1、黒田 浩光1、東口 隆1、赤塚 正幸1、島田 敦1、鈴木 信太郎1、小北 篤史1、白石 沙耶可1、石原 悦菜悦菜1、島田 朋和1 (1. 札幌医科大学医学部集中治療医学)
ガイドラインの普及により、重症患者に対して早期から栄養療法が行われるようになってきた。早期経腸栄養が重要となるが、重症度の高さや、さまざまな治療の必要性から、実際には経腸栄養の開始をためらうことも少なくない。病態や治療の特性を理解し、多職種が関わることで、適切かつ積極的な栄養療法が可能になる。急性腎障害や敗血症性ショックなどで行われる持続的腎代替療法(CKRT)による溶質除去は分子量に依存するため、電解質・栄養成分などの重要物質も除去される。CKRTの施行条件によっては10-15g/dayのアミノ酸や低分子量ペプチドが喪失するため、CKRT施行中はアミノ酸や蛋白の投与量を増加させる必要がある。腹部開放管理(OAM)では創部からの浸出液へ蛋白が漏出するため、同様に投与量の設定が重要となる。重症呼吸不全や背側無気肺に対して行われる腹臥位呼吸療法(PP)では、腹部圧迫による嘔吐のリスクが高まるため、投与量を慎重に増量するなどの注意が必要である。体外式膜型人工肺(ECMO)、特に循環補助としてのVA-ECMO施行中は高用量のカテコラミンを投与していることが多く、血管攣縮に伴う非閉塞性腸間膜虚血のリスクを伴う。また、VV-ECMOは重症呼吸不全に対して行われるため、致命的となる嘔吐・誤嚥は回避すべき合併症である。日本版重症患者の栄養療法ガイドライン2024では、特殊治療(ECMO、PP、OAM)時の栄養療法がCQとして取り挙げられるが、このような治療の施行中でも経腸栄養を中心とした積極的な栄養療法を行うべきである。この際、看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・臨床工学技士などとの多職種でのディスカッションを通して、投与量や組成、消化管蠕動改善薬の投与、経腸栄養の投与経路やタイミングなど、病態や治療に合わせた最適な投与方法を選択することが重要である。