講演情報

[SY3-01]多職種協働活動のなかの知識と能力を解明すること:プレホスピタルケア実践を中心に

*池谷 のぞみ1 (1. 慶應義塾大学)
ヘリコプター救急医療活動におけるプレホスピタルケア実践の場面は、ヘリコプターで病院から到着した医師,看護師は,患者を搬送してきた救急隊員らとの協働によって,重篤な患者に対して短時間の間に処置を行ない,しかるべき病院に搬送する必要がある。このプレホスピタルケア実践は、お互いほとんど知らない同士での多職種連携であり、なおかつ迅速に行なわなければならないという点で、多くの課題が想定される。こうした場面において協働するのに、互いにどのようなことを知っていて実践することが求められるのかを明らかにすることは、有効な形でプレホスピタルケアを実践するためにも、そして人材育成という観点からも重要である。私たちがとる研究方針では、理想像から議論を始めるのではなく、実際の場面状況をつぶさに分析することから始める。その場面に参与する異なる立場のメンバーが、時々刻々進む場面において何を理解し、次の行為につなげていくのかを具体的に分析し記述する。本報告では、人材育成の一環で撮影されたプレホスピタル場面のビデオデータを分析した結果から得られた次のような気づきを提示する。1)社会学者のみの分析から知見を得ようとするのではなく、医療従事者との共同研究によって行うことが有効である。2) 救急医療全般において、メディカルコントロールが重要とされるが、それは医師によってのみ実現されるものと捉えるのではなく、多職種メンバーの協働によって可能であることをあらためて互いが捉え、その下でプレホスピタルケアの実践に関わるメンバーが互いに分業し協働することがより有効である。3)実践の中の知識と能力を明らかにすることは、シニアのスタッフが横にいながらのOJTを実施することが困難なプレホスピタルケア実践において一定の意義がある。