講演情報

[SY3-02]エスノメソドロジーの視点に基づく多職種協働の分析とその方法

*松永 伸太朗1 (1. 公立大学法人 長野大学)
本報告では、社会学の一分野であるエスノメソドロジーの考え方を用いて医療場面における協働の分析を行う方法を示すとともに、実際に医師・看護師・救命救急士が協働するドクターヘリのプレホスピタルケアの場面の分析事例を示すことを目的とする。
 エスノメソドロジーは、社会秩序は人々が織りなす相互行為を通して達成されるものであると捉えることで、単なる役割関係では捉えられないさまざまな協働のあり方を詳細に記述することができる。このことは多職種連携を可能にするような、当事者にとって「見えているが気付いていない」様々な実践を明らかにすることにつながる。こうしたエスノメソドロジーの分析は、当事者が活動のなかで志向している事柄を捉えるためにさまざまな質的データを収集することによって行われる。本報告ではとくに近年のエスノメソドロジーのなかでよく用いられるビデオデータの書き起こし(トランスクリプト)の作成の仕方について、実際の分析プロセスと関連させながら示す。
 分析の仕方について概略的に示したうえで、本報告では医師・看護師・救命救急士が協働するプレホスピタルケアの場面についての具体的な分析をいくつか取り上げる。ドクターヘリと現地の救急隊のランデブーポイントにおいて、ドクターヘリ側の医師・看護師・救命救急士と現地の救急隊がどのようにして必要な情報を収集・整理しながら患者への処置や搬送に関する意思決定を行っているのかについて、その現場で行われる相互行為に着目しつつ分析する。とくに、現地の救急隊への教育・サポートを行う目的でドクターヘリに搭乗してきた院内救命士が、その役割に即した教育的なやりとりのみならず、救急車内で行われる処置や情報の整理に貢献していることを議論する。